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[第12章●パーソナル“なんでも”データベースのすすめ]
5… MySQLを使う理由
[2004.10.07登録]

石田豊
ishida@pot.co.jp

MySQLを使ってみて、最初に驚いたことは、その扱いのシンプルさと処理の速度だった。仕事としてはじめて作ったデータベースはけっこうサイズの大きなものではあったが、こっちが予想しているよりずっと素早い動きをみせてくれた。

この手のプログラムやスクリプトをつくった経験をお持ちの方はおわかりのことだろうと思うが、処理の速度はアルゴリズム(手順)に大きく左右される。ヘタな組み方をすると、速度はうんとこさ遅くなるし、逆にスマートなやり口を見つければ、それだけでウンと速くなる。

このスマートなやり方というのは、経験によって獲得されるものだ。つまり、同じようなことを何度もやってはじめて、よりスマートなやり方を覚えていける。だから、経験を積んでいないうちは、(後から思えば)トロくさいやり方をしてしまいがちである。

その時に作成したスクリプトは、今から思えばずいぶんヘタなやりかたをしている。しかし、それでも実用上、まったく問題にならないくらい速かった。

これには驚いた。

それに取り扱いが非常に簡単だったということにも好印象を持った。PHPを介してMySQLを取り扱うのだが、PHPはすこぶるシンプルで、習得しやすい言語であった。自然言語との親和性がきわめて高く、少し勉強すると、あとは「カン」で分かっていくという構造になっている。

それに、MySQL+PHPという組合せは、Windows、Macにもインストールできるという強みもある。つまりLinux機とかを用意しなくてもダイジョウブ。自分にとってはどっちでもいいようなものだが、人に勧めるにはマストの条件になるだろう。

目的は住所情報をふくめ、メモしておきたいさまざまな情報を登録しておくデータベースを作ることである。もちろん、それは市販のデータベースソフト、たとえばファイルメーカーやアクセスなど、でも可能だ。しかし、前に書いたように、データベースソフトを使うことへのためらいはある。ひとつは永続性。市販ソフトの「余命」はわからない。データベースのデータはそれを作成したアプリケーションがなくなっちゃうと使えなくなるのが普通だから、将来に不安があるものは使いたくない。

それにデータベースソフトはけっこう「重い」。起動にも時間がかかる。なんでもメモしておくためのデータベースは、思いついた時にすぐに書き込め、あるいは検索できるものでなくてはならない。わざわざ重いソフトをその都度立ち上げるのは現実的ではない。

データベースソフトは高いということもナンだね。画像処理だとかDTPなどを業務としてやるなら別だが、一般的なビジネス/プライベートユースの場合、ソフトをお金をだして買うということは極端に少なくなった。買うとしても数千円のオンラインソフトくらいでしょう。数万円のデータベースソフトは極め付きの高額商品のような気がしてくる。

MySQL+PHPの組合せの場合、インタフェイスはWebブラウザである。つまりあなたがいまこの記事を読むのに使っているInternetExplorerはじめとする各種ブラウザでいいんですね。いまや常時接続時代。ブラウザは起動しっぱなしという人が多いのではないか。すくなくともぼくはそう。そのお気に入りに自分のデータベースをいれておけば、すぐにアクセスできる。

もちろんMySQLもPHPもオープンソースであって、ただで使える。しかし、オープンソースのホントの価値は、ただ、ということではなく、特定の企業や個人がその将来を握っているわけじゃないという点にある。将来への安心度は高いし、もし、ぽしゃっちゃっても、別のプロジェクトに継承されるのが普通だ。つまり、長続きする可能性は高い上に、いざという場合の逃げ道が用意されると思っておける。

ただ、問題は、なんてったって面倒くさいということですね。このごろのアプリケーションなら、インストーラでらくらくセットアップ。ダブルクリック一発で使い始めることができる。しかし、ぼくが勧めたい方式はなんともはや面倒くさい。Apache、PHP、MySQLをインストール、セットアップしなければならない。設定用のファイルをエディタで編集したり、パスを設定したりと、敷居が高い。

その敷居の高さは、言ってみれば「初回のみ」の入会金のようなもので、その後の「月々の会費」にあたる作業は、他のアプリケーションと同じというか、もっと簡単である。

以来、このシステムを人にすすめたくてうずうずしていたんだが、このシステムを実現するためには、Apache、PHP、MySQLをインストール、セットアップし、基本的な操作方法や文法を覚え、データベースを作らなければならない。これはたとえばこういうところで説明できる分量と内容では到底ない。それで二の足を踏んでいた。

そうこうしているうちにある出版社からMySQLのごくごく初歩の入門書を書かないかとのオファを受けた。これは渡りに船じゃん。その本の中の実例としてぼくの「なんでもデータベース」を掲載し、その作り方や使い方を説明する。そして附録CD-ROMには、できあがったスクリプトを完全収録するという方針にすればいい。もし、このシステムを使いたいだけの人は、そのスクリプトを使ってもらえばいい。

執筆は難航した(怠け者ですからね)が、ようやく近日出版の運びとなった。

以下、書くことでおわかりにならない点があれば、その本を参照していただくとありがたい。

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[2004-11-23]

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