2011-09-15

版元ドットコムも参加 出版デジタル機構(仮称)設立準備連絡会設立

すべての出版物のデジタル化を目指して、出版デジタル機構の設立準備連絡会を発足させました。
出版界の大手から中小零細まで、すべての出版社に呼びかけて、電子書籍提供をしようというものです。
ポット出版は版元ドットコムの組合員たちと一緒に、その一員としてこれに合流しました。
(一緒に参加した6社は語研、スタイルノート、青弓社、第三書館、太郎次郎社エディタス、トランスビュー)

なぜ、今ある出版社で「すべての出版物のデジタル化を目指し」ていくのか?
ポット出版は、これまで日本で出版物として多くの人に読まれてきた既刊の本を電子化するには、
その本を出版した出版社が取組むのがイチバンの近道だと思うからです。

既刊の本は、さまざまな書き手たちに著作権があります。これら書き手たちに電子書籍化を働きかけるなら、
やはり、その本を一緒につくって、流通にも責任を負った出版社が働きかけをするのが、早くうまくいくと、
考えています。

日本の出版社は、そうした道に大きく一歩ふみだしました。
海外にも例のない取組みだと自負しています。

ボクはこれまで、たとえば自炊やその代行に多くの人の利用があるのは、出版社の電子書籍化の取組みのおくれが原因で、出版社(業界)の怠慢だと書いてきました。
なので「すべての出版物のデジタル化を目指して」という取組みが必要だと行動してきたつもりですし、
今回、この合意に積極的に参加しました。

また、国立国会図書館と一緒に取組んできた(ものの、うまく進められていない)「ジャパニーズ・ブックダム」
=日本の書籍の全文検索・一部表示を、現実のものにするための一歩だとも考えています。

ただし、これから実現にむかってはまだまだヤマのような仕事が待ち構えています。
たくさんの費用もかかります。途中でうまくできなくなるかもしれません。
あまりの険しさに、少しビビってもいます。

まあ、あまり深刻にならずに、まずは一歩を踏み出せたことに、今日のところは素直に喜ぼうと思います。
できれば、みなさんがちょっとだけ注目してもらえればウレシイ、です。よろしく!

2011年9月15日 ポット出版 沢辺均

↓一部だけ直しがあったので、最終版と差し替えました(2011.09.15 16:10)
出版デジタル機構出版デジタル機構
─(以下テキスト)─────────────────────────────
報道各位

プレスリリース

出版デジタル機構(仮称)設立のお知らせ
——すべての出版物のデジタル化を目指して——

平成23年9月15日
「出版デジタル機構(仮称)」設立準備連絡会

 このたび、インプレスホールディングス・勁草書房・講談社・光文社・集英社・小学館・新潮社・筑摩書房・東京大学出版会・東京電機大学出版局・版元ドットコム(代表:ポット出版・ほか6 社)・文藝春秋・平凡社・有斐閣の出版社20社(五十音順)は、出版社が主体となって作る新会社「出版デジタル機構(仮称)」の設立に合意いたしました。

 「出版デジタル機構」は、日本国内における電子出版ビジネスの市場拡大をサポートするための公共的なインフラとなります。同機構の主要な業務のひとつは、出版物のデジタルデータの保管=ストレージです。また、それだけではなく、すべての出版物のデジタル化の支援に努めます。さらには各電子書店への配信業務のサポート、図書館に対する窓口機能等の業務も進めてまいります。これらのインフラを整えながら、読者にとってのよりよい読書環境を育てていくことを目標といたします。

 現在、国内では数多くの電子書店がすでに稼動しています。一方で、電子出版に関しては、海外に本拠を置くプラットフォーマ一等もさまざまなアプローチを試みている最中です。市場の基盤を固め、日本の電子出版物の国際競争力を確かなものにしていくことが、新会社の目的のひとつです。

 今回、出版社20社が設立合意に達した同機構は、総務省・経産省・文科省を軸としたいわゆる三省デジタル懇談会等において、昨年から議論がつづいてきた課題に対するひとつの回答でもあります。それらの課題とは、「出版物へのアクセスの確保」や「図書館と出版社のあり方」、「出版物の権利処理のしくみ」などに関わる事項です。新たな市場を拡大する上で横たわる課題を解決しながら、出版界の将来を形づくっていくことが同機構の役割です。

 今後は、出資についての詳細な内容を調えながら、この冬にも、新会社としての設立を目指します。著作者のご理解、及び出版関連団体・企業のご協力をいただきながら、さらに国内の出版社の参加を広く募っていく予定です。

 なお、同機構の具体的な目的や、業務内容は下記のとおりです。
 皆様方のご理解、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

I 「出版デジタル機構」の目的および目標

●国内における電子出版ビジネスの公共的インフラを整備することで、市場拡大を図る。
●日本の電子出版物の国際競争力を強化する。
●研究・教育・教養分野における電子出版物利用環境を整備する。
●現在または将来の利益逸失を防ぎ、出版界全体の成長に貢献する。
●国内で出版されたあらゆる出版物の全文検索を可能にする。
●本機構は各出版社等からの出資を受け、収益化を目指す。

Ⅱ 同・基本業務内容

●「出版デジタル機構」(以下、「本機構」)参加各社の出版物デジタルデータの保管業務を
行う。
●対図書館ビジネス(BtoP)を各社に代わって本機構が代行する。
●国立国会図書館が電子化をおこなった雑誌・書籍の民間活用の担い手となる。
●各電子書店・プラットフォーマーに向けての配信業務(BtoB)を支援する。
●各社の希望に応じて出版物の電子化を行う。
●各社の著作権者への収益分配を支援する。
●電子出版物に関する検討事項を討議し、解決する場を提供する。

※本件について当面のお問い合わせは、「出版デジタル機構(仮称)」設立準備連絡会議長・植村
八潮(日本書籍出版協会理事・東京電機大学出版局局長)まで。なお、ご連絡は左記・日本書籍
出版協会事務局03-3268-1303 樋口あてにお願いいたします。

このエントリへの反応

  1. 愛知大学の時実です。来月おこなわれる全国図書館大会で図書館と電子書籍について講演する予定です。「出版デジタル機構」の業務のうち、「対図書館ビジネス(BtoP)を各社に代わって本機構が代行する。」に関心があります。いちどお話をお伺いできないでしょうか。よろしくお願いいたします。