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▲風俗嬢意識調査 top |
オリエンテーション |
風俗嬢へのアンケート内容 | 活動日誌●199908--10 | 活動日誌●200003--05 | | アンケートにご協力下さい | 11. 4シンポアンケートから | |
オリエンテーション | [1999.8.27] |
●はじめに |
今日からこのコーナーで、風俗嬢意識調査活動の報告をさせてもらいます。この夏、東京は新宿、渋谷、池袋の風俗店約50店舗まわって、300〜500人の風俗嬢と出会うのです。ほぼ毎日調査に出かけるので、日記形式で調査報告をしたいと思います。その日に出会った風俗嬢・従業員のことや、その日に考えたこと・思ったこと、その日の出来事などをリアルタイムで伝えることで、風俗嬢やお店の感触や手触り、空気や気分といったものを少しでもお伝えできればいいなと思います。 |
●「ゆっこちゃん |
はじめまして。このたび、ポット出版さんのHPの一角をお借りして、風俗嬢意識調査活動日記を公開させてもらうことになりました、「ゆっこちゃんくらぶ」代表のゆっこちゃんです。自分のこと普段から「ゆっこちゃん」と呼んでるわけではありません。まして、大人(私は23)にもなって自分のことをちゃん付けで呼んで許されるのは朋ちゃんぐらいです(あと、自分のこと「あゆあゆ」とか「恭子」って言うのも許される)。ゆっこちゃんという呼び方は、友人が命名してくれました。 そして、「ゆっこちゃんくらぶ」というのは、今回公開する風俗嬢意識調査活動のように、ゆっこちゃんとか、ゆっこちゃん界隈のひとがチームを組んで何かをやる時に、誰かに説明、紹介しやすいように「ゆっこちゃんくらぶ」とただ言っているだけで、一種の存在証明みたいなものかな。だから別に思想性を持った団体とかそういうのではありません。 で、今回の意識調査も、ゆっこちゃん界隈のひとの協力を経て、取り組む運びとなりました。今まで公に活動することがなかったので、今回の活動がメジャーデビュー(?)となります。どうぞよろしく。 |
●風俗嬢意識調査 |
私が風俗嬢意識調査をやろうと思ったのは、内外タイムスのある日の記事がきっかけでした。 私はここ一年、内外タイムスを毎日読んでいますが、ある夏の午後、忘れもしない7月17日、いつものように私は食後の内外タイムスを読んでいたら、「読者アンケート 風俗で遊ぶー浮気との境目は?!」という記事が載っていました。この読者アンケートというのは、クロスワードパズルに応募した読者が、内外タイムスのアンケート「風俗で遊ぶコトは浮気と思うか?」に答えたものです。 記事によると、アンケートの結果は、男性読者が多いせいか、NO(風俗は浮気と思わない)が79.52%と圧倒的に多く、YES(浮気と思う)が女性を中心に13.25%、その他(一概には言えないなど)が7.23%というふうになっていました。また、NOと答えた理由として、「お金を払っているので浮気ではない。性欲を満たすために通うのであって、決して気持ちでは妻を裏切ってない」、「金で済むことは契約で商取引である。勘定はあっても感情はない」(うまいですね)など、おもしろい意見が紹介されていました。 そして、記事の最後のほうに、「機会があれば、風俗嬢の意見を聞いてみたいですな」とあったので、私は、「じゃあ聞こうよ!」と思って、早速2日後の7月19日、有明にある内外タイムス本社を訪れました。 |
●意識調査の |
私は、「風俗嬢は、風俗は浮気と思うか」だけを聞きたいがために内外タイムスに赴いたわけではありませんでした。それだけなら、単に風俗嬢に興味本位で聞いているみたいで、場合によっては失礼にあたるかもしれません。風俗嬢にアンケートをとるなら、この際、風俗嬢にとって必要な調査であるとか、風俗嬢・風俗に関する誤った知識・情報を指摘できるような調査にしようと思いました。みなさんもご存知のように、風俗や風俗嬢は、偏見の目で見られたり、あまりよく言われないことがいっぱいあります。それは、性についての考え方がみんなそれぞれ違うというのもありますが、もう一つとして、風俗・風俗嬢についての正しい知識・情報が(村上龍的に言うと)今までにアナウンスされてこなかったということが言えると思います。ここで断っておきますが、私は風俗や風俗嬢がすばらしいとかいいことだとか思っていないし、そういうことを言いたいのではありません。今の社会では、風俗・風俗嬢についてのイメージ・見方があまりにも偏り過ぎている、それによって差別や偏見が生まれるのはフェアじゃないし、そのような偏った知識・情報の裏付けがあるのであれば、訂正してきちんと提示されなければいけないと思います。 また、これまで、風俗嬢を対象にした大規模な意識調査というのは、(私の知る限りでは)行われてきませんでした。去年、「男性と買春を考える会」が、大規模な「買春に対する男性意識調査」というものを行ったけど、これは調査対象が男性で、調査の中身も、風俗嬢にとってメリットのある調査ではありませんでした。 風俗について考えるのであれば、まず、風俗嬢の意見・声に耳を傾けるべきです。当事者の実態を把握するところから出帆しなければ、メディアなどが侵してきた過ちを私たちも踏襲してしまうことにもなりかねませんし、何が必要で、どういう対策がなされるべきかという実態に即したことも考えられません。実態が当事者にのみしか把握されていない状況というのは、まさに、差別・偏見の温床となるばかりか、当事者に危険なことがあったとしても早急な救済がなされません。 かといって、「ゆっこちゃんくらぶ」が風俗店を一軒一軒まわって調査するというのも現実的に難しい話です。しかし、内外タイムスなら風俗店の広告もいっぱい載せてあるし、つきあいもあるだろうから、不可能ではない話だと思いました。もちろんここで内外タイムスのひとが協力してくれるかどうか、また、私の調査目的・意図を理解してくれるかどうかがネックになってくるのですが……。 |
●内外タイムスの |
今年の夏はとにかく暑いですね。有明にある内外タイムス本社を訪れた7月19日も例外ではなく、本社前の道路では映画のシーンのように陽炎が燃えていました。アポをとっていかなかったので、担当のひとに会えるかどうか心配でしたが、ラッキーなことに担当の特集部の薄井さんというひとが話を聞いてくれました。 いきなり、誰かも分からない私から、「アンケートの記事を見たのだが、是非風俗嬢アンケートもやりましょう」みたいなことを言われて、薄井さんは戸惑ったと思うし、慎重にならざるを得なかったと思います。実際、私の提案を受けて薄井さんは、「アンケート結果の発表の仕方によって、風俗嬢に悪い影響を及ぼす心配がある」ということを言われました。つまり、アンケート結果なり結果報告なりが、風俗嬢にとってマイナスの負荷として返ってくるようではむしろ意味がないということです。私はそのことについて、「アンケート結果がどうなるかまでは私も責任は持てないし、やってみないとわからないことだが、風俗にまったく関係ないようなひとたちとかがやるのではなく、風俗嬢も参画して、風俗嬢のためになるような調査が目的とされたアンケートならば、きっと役立つだろうし、それ以前に、こういうことを試みること自体大事だし、今まで何もされなかった分、必要とされているのではないか」というようなことを言いました。また、それを補強する意味で、調査をしようとしている私という人間が、風俗についてどういう見識を持っているかということも伝えました。 一方、薄井さんも自分の考えを話してくれました。そこで、感銘を受けたお話が聞けたので、是非ともみなさんに紹介しておきます。 薄井さんは、風俗の取材に行く時、スーツにネクタイで行きます。それは、タレントなどを取材する時は正装して行くのに、風俗嬢を取材する時はどうでもいいような格好をしていくのはおかしいという考えからです。 また、マスコミの風俗嬢の取り上げ方についても、鋭い眼光が光っていました。以前、巨人の河原が風俗嬢と結婚したのがマスコミで騒がれた時、男性向けのスポーツ紙などは、河原に対する誹謗中傷はそんなになかったそうですが、一番ひどかったのが女性週刊誌だったそうです。これについて薄井さんは、「風俗嬢の一番の敵は、女性だ」と言っていました。 そういう内容の濃い話をして、私は、薄井さんにも興味を持ったし、内外タイムスに来てよかったなと思いました。 薄井さんはその他幾つかの懸案事項を示し、それについて私がクリアできる条件を示し、とりあえず内外タイムスで検討してみるということになりました。そしてとりあえず私の方でも、風俗嬢有志らに呼びかけてアンケート項目をリストアップしてくるということになりました。 |
●アンケートの |
アンケート作成においては、セックスワーカー(風俗嬢のみならず、もっと幅広い意味で性労働者)や、セックスワーカーをサポートしているひとたちの意見やアドバイスを取り入れ、最終的には大きく分けて、(1)動機や経歴(2)仕事に対する認識(3)客/店/仕事の実態(4)病院に関すること、の4つの項目から成るものになりました。 初め作ったアンケートでは、社会に対する認識/要求みたいな項目があったのですが、検討を重ねるうちに、この項目の意味についていろいろ考えて躊躇することがあったので削除しました。 普通、多くの労働者というのは、特に今の時代は、自分の仕事とか生活で生じる喜怒哀楽というのをいちいち社会機構に結び付けて考えたりしないと思うし、政治が今どうなっているとか、政治にコミットしていこうという話は普段の身近な会話では希薄です。だから、自分の仕事についても、改善のために政治や社会がどうなればいいという話にはなかなかなりにくく、それに関する情報や知恵の供給も十分とは言えません。 こうした調査者側の認識を根拠に、今回は社会の項目を見送りました。それで、完成したアンケートは、実態の把握に徹するものになったと思います。 もちろんこれはこれで十分意味があり、実態が明らかになることによって、社会や政治が突きつけられているものも見えてくるはずです。 数日後、内外タイムスの薄井さんから意識調査のGOサインを頂き、幾度かの話し合いを重ねることでアンケート内容も更に洗練されていきました。 それでも完成したアンケート用紙は全部でA4サイズ4枚、聞き取り(面談)に要する時間は1人10〜15分といったところです。 |
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