2011-05-10
いただいた本●アーカイブズが社会を変える─公文書管理法と情報革命
松岡資明さんからいただきました。
書名●アーカイブズが社会を変える─公文書管理法と情報革命
著者●松岡資明
発行●平凡社新書
定価●740円+税
2011年4月15日発行
ISBN978-4-582-85580-7 C0236
新書判/224ページ/並製
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●版元による紹介
二〇一一年四月、公文書管理法が施行される。
国民の利害に関係する公文書を適切に管理し、利用者=国民の要求があれば閲覧させるという、民主主義の根幹に関わるきわめて重要な法律だ。
日本はこれまで記録保存に関して「後れた国」だったが、この法律で何がどう変わるのか。
公文書の世界で起きている地殻変動を伝え、知られざるアーカイブズの宇宙に誘う。
●目次
まえがき
第1章 後れた国ニッポン
杜撰な管理が莫大な無駄を生む/「二千五百対四十二」という数字は何を物語るか
中国・韓国に後れをとる日本/記録がなければ歴史は語れない
第2章 アーカイブズの宇宙
公文書管理法施行は絶好の機会
1 耳目集めた「天草アーカイブズ」
百八十度の大転換/文書の評価選別は人によって判断が分かれる
真価が問われるのはこれから
2 「エル・ライブラリー」の挑戦
古書販売も重要な収入源/電電公社と労働組合の秘密協定
公安関係のマル秘資料も/補助金カットで自転車操業
3 日本文化の源流をさぐる「仏教資料文庫」
ネパール仏教文化の保全活動/サンスクリット経典写本のマイクロフィルム化
4 外邦図の世界
帝国主義の時代の産物/負の遺産にも役割がある/長期的な管理体制確立が課題
5 北海道開拓と囚人
北海道裏面史の語り部/文学館こそ格好のアーカイブズ
6 東京電力「電気の史料館」
克明な送電日誌が語るもの/三割が未整理資料
7 世界有数のデジタル・アーカイブズ「アジア歴史資料センター」
その“起源”は村山談話/四年半越しにセンター設置が閣議決定
海外の研究者にとって不可欠な資料/検索面から目録システムを構築
8 山口銀行「やまぎん史料館」
現在の経営に生かすために/楽しみな課題
9 逆境に立ち向かう「日航アーカイブズセンター」
「打ち上げ花火より線香花火」/企業スピリットを伝える
第3章 資料保存の危機
大学は「危ない場所」/日本のアーカイブズ史/日本初の公文書館
公文書館法制定に情熱を燃やした政治家/「仕分け」の対象となる公文書館
機関アーカイブズと収集アーカイブズ
第4章 公文書管理法で何が変わるか
1 成立までの経緯
公文書館推進議員懇談会/上川前衆院議員の奮闘/与野党間の駆け引き
2 公文書管理法とは何か
情報公開法と公文書管理法は車の両輪/施行令とガイドライン
3 その課題
国立公文書館の位置づけ/「三十年原則」を具体化すべき/官邸というブラックボックス
第5章 社会に欠かせぬアーカイブズ
公文書管理に乗り出す地方自治体/日本人が苦手な実証的思考
記録資料は系統的に整理することで新しい価値を生む
発掘したその日に記録をつける考古学者/消えてしまった「公共」
知的情報基盤をいかに構築するか/民主化闘争で変貌を遂げた韓国の公文書管理
第6章 課題と展望
1 いかに多様な記録資料を保存するか
脚本アーカイブズ/文化アーカイブズの意義/大学に引き継がれた「住民図書館」
新しい潮流、環境アーカイブズ/公害訴訟に貢献した記録
アーカイブズ維持に不可欠な大学
2 「MLA連携」
背景には情報のデジタル化/研究資源を共有化
ヨーロッパ電子図書館の目的はグーグル対抗/長尾構想はどう決着するか
デジタルが直面する長期保存の壁
3 著作権問題
公文書管理法と著作権の調整/アメリカに根づいたフェアユースの思想
4 人材育成
レコードマネジャーに求められる資質/公文書館と大学が連携して実務経験を
5 アーカイブズを支える市民の力
三代にわたって撮りためた写真/ボランティアで古文書整理
整理作業はアイデンティティの確認でもある
ウィキペディアの仕組みを活用した「北摂アーカイブス」
地域情報の活用に取り組み始めた図書館/アーカイブズの本質
あとがき