2011-04-18
【比較】各党・機関誌(紙)を読む~反資本主義新党から公明党まで~
フランス政治はインターネットに移行しつつある。
同国は独自のパソコン通信が早い時期から普及されたため、高機能のネット環が人口に膾炙するのに時間がかかった。
私が法国にいたころはADSLで、突然、接続が止まるというトラブルが絶えなかった。私だけの話ではなく、一般的な話だ。
2009年までフランス社会党(Parti Socialiste)は全面カラーのコンパクト機関誌『週刊社会主義者』(L’hebdo DES SOCIALISTES)を発行しており、だいたい36頁(週によって異なる)で、文化欄(書籍・漫画・映画)があり、政治主張があり、国際欄があり、読み応えがあった。いまは薄っぺらくなってしまい、ネットで政治情報を配信するのが主流だ。社会党は季刊で厚い理論投稿誌を発行している。
極左政党・ガチンコ左翼政党は割と機関紙(誌)に力を入れている。
『反資本主義新党』は12頁のタブロイド版週刊紙『Tout EST A NOUS!』を発行しており、4月7日号(第97号)では日本の原発事情と反原発運動を記事にした『日本:危機と連帯』に国際面の2/3を割いている。36頁のA4版の月刊『TOUT EST A NOUS!』も発行している。
未だにプロレタリアート独裁を目指すシーラカンス極左政党『労働者の闘い』も党名通りの週刊紙を発行している。
フランス共産党は日刊紙を発行し、キヨスクで手に入る。
極右政党『国民戦線』は週刊紙を発行していたが、近年、廃刊した。
右派政党はたいてい全面カラーでA4サイズの機関誌を発行している。
MPF(フランスのための運動)はがんばって隔月刊誌を発行している。
Monsieur Philippe De Villiers、すばらしい。
中道政党『MoDem』は不定期で機関誌を出している。
正直、おもしろくも何ともないが。
日本でおすすめなのは公明党が発行する月刊『公明』だろうか。
同党の理論誌かと思ふほど意外な論稿が載る。
最近で推薦するのは2009年10月号だ。
巻頭論文の佐藤卓己・京都大学准教授『「いま、ここ」での即決迫るファスト政治の危うさ』は世論調査に政治が左右される危険性を警鐘し、評論家の西部邁氏も以前から指摘してきたが、「輿論」(よろん)と「世論」(せろん)を区別し、「輿論の結晶化」を促している。
REPUBLIQUE(共和国)の語源「res publica(公共の事柄)」について話し合う場が必要だということだろう。
他には立岩真也・立命館大学教授の「ベーシックインカムが語る税の思想」、河合秀和・学習院大学名誉教授による書評「『ドゴールのいるフランス』を読む」がおすすめだ。