2008-12-13
速水由起子『恋愛できない男たち』
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● 速水由起子『恋愛できない男たち』(大和書房)
★★ 怒りは伝わってくるが、説得力がいまひとつ
これは男たちに向けられた怒りの書である。
著者の速水由紀子は、現代の風俗を追う仕事で定評のあるジャーナリストである。が、本書を通じて読むと、ジャーナリズムとしての客観報道より、著者の抱く怒りの感情に強い印象を受ける。
速水は言う。「本著では、恋愛コネクション能力がきわめて低く、『どんなに愛しても愛してくれない男たち』をルポしてみた。つまり、恋愛で一番大切な相手を心から求め、共生のために歩み寄ろうとする建設的な人間関係が築けない人々だ」
そこに登場するのは、「ロリコン病」の男、フツーの女とセックスできない童貞、「真性オヤジ病」、未成熟な自己愛男等々である。しかし、それらはけっして特別な人たちのことを指し示しているだけでなく、今どきの男たちの傾向を表してもいる。
速水の彼らに対する評価は厳しい。「人を愛することができない男に対して、自分のつきあい方がいけないのではないかとか、愛されないことに悩むのは、時間と労力の無駄遣い」。つまり、現在、女たちが男たちとの関係に満足がいってないことは、男たちの側に責任があるのだ、と。
例えば、彼女が「社会的に広く蔓延している国民病」と指摘するロリコンは、彼らが「精神的な自立を遂げられない、『永遠の息子』」であるからだとする。人間的に未熟であるからこそ、大人の女たちと関係を持つことができない。
速水の分析する原因と処方せんはまだ検討の余地があると思うが、そこで広く輪郭づけてみせた現象は、まさに男たちの現状を表している。男たちは女たちの要求値が上がっていくことにひらすら躊躇し、「オヤジ」に開き直るか、ファンタジーへの憧憬に留まるかしか、道を見出しづらくなている。もう旧来の「男らしさ」は通用しないのだ。
本書は過渡期の女たちのいらだちを、殺意すら孕みながら訴えている。
*初出/共同配信