2009-09-23

図書館ブログについて思うこと

ブログを使って情報を発信している図書館は、もうそれほど珍しくはない。
だが、スタッフの日記のようなものもあれば、今日の天気や館内の様子を掲載してみるなど、各館まだまだ模索している段階のようだ。

周辺の写真や気候などを、図書館のブログに掲載しているのを見て改めて思ったのが、地域の情報を発信することも、大切な図書館の役割だということだ。
例えば地域のイベント情報、行政や産業の情報なども図書館資料とあわせて知ることが出来れば、地域の情報拠点としてさらに便利なものになるだろう。

しかし現実を考えると、地域の情報を網羅的に拾うのも大変だし、そこまで目配りする余力もない。
そこで考えられるのが、集合知の活用だ。

例えばソーシャルブックマークに、地元企業や地域のブロガーを登録しておけば、手間をかけずに地域情報ポータル的なものがつくれるかもしれない。登録の自薦も受け付けるようにすれば、市民参加型サービスとして発展する可能性もある。

公共図書館のリンク集に収録されている地域の情報源というと、信頼性を優先するので公共機関や学校、病院などが多く、個人ブログを登録している例は、恐らく皆無に近いのではないかと思う。

だが実際には、趣味で郷土史を調べてブログを書いている人もいるし、町のイベントをマメにフォローしている人もいる。

レファレンスでそんな個人ブログに行き当たり、これを紹介するのってアリなの?と悩んだことのある司書も、案外いるんじゃないだろうか。
そんな壁も、考え方一つで簡単に突破できてしまうかもしれない。

僕の勤務先でも、資料紹介と雑誌記事紹介、2つのブログを運用している。
今のところは、蔵書への導線を増やそうという意図なので、資料や雑誌記事の紹介を掲載するスタイルとなっている。

資料紹介のブログに関しては、紹介資料の選択と継続性にこだわって進めているが、いかんせん内容が書誌的な事項を述べるだけになっているので、これに関しては、読書感想文的な方向ではなく、書誌解題的な方向で、司書自身の言葉で平易に説明するよう変えなきゃならないと思っている。

2004年の図書館開館当時、「図書館だより」のようなものを作るため、スタッフに原稿を書いてもらったのだが、その時に個人の趣味が強く出た思い入れたっぷりの原稿を書いてしまうケースが続出した。
バランス感覚を求め、まずはロジカルに事実を伝える文を意識付けたところ、それが仇となってしまい、自分の価値観は表に出さず、紋切り型の文を書く人が増えてしまった。

自分の書く文章も下手なのに、人に文章の書き方を指導する無謀さは承知だが、まだ下手だから書けませんと言い続けるようでは、図書館からの情報発信など覚束ない。

確か栃木県小山市立中央図書館の栗原さんが、人前で話が出来て、文章も書ける司書を育てる方針だということを仰っていたのを思い出した。
僕からすると、まだその目標は遠すぎて掲げられそうにないが、これはすごく重要な指摘だと思う。

ところで、勤務先の雑誌記事紹介ブログで、最近新しいことを始めてみた。
ブログが図書館員と利用者のコミュニケーションの場にもなり得るんじゃないかということで、雑誌記事紹介ブログはコメントを許可し、さらに夏休みの体験学習の生徒達にもエントリーを書いてもらうようにした。
まだ手を付けはじめたばかりだが、今後は例えばメールで資料紹介や雑誌記事紹介のエントリーを受け付けて、図書館側でアップするようなこともやってみようかと思う。

このエントリへの反応

  1. >人前で話が出来て、文章も書ける司書を育てる方針

    セミナーや講演会や研修会などで「質問ができる司書」を育てて欲しいと思います。

    まずはそこから。

  2. はじめまして。
    コメントありがとうございます。

    そうですね。
    確かに質問できる人は少ないなぁと思います。
    受け身の姿勢だけで、質問もなかなか出てこなかったり。
    道のりは長いですが、少しずつでも続けていければと思っています。

    これからもよろしくお願いします。

  3. 図書館の現実な意味とはなんだろうか?
    存在意義は十分にわかるのだが、その存在意義とは
    個々家計の所得に
    負うべきものがかなりの比重を占めているのでは
    現実を直視した運営が大切ではないのか