『東京新聞』朝刊2003年1月30日(都下多摩武蔵野版)P8に「失業への不安、給料に大差」の見出しで、自治体非常勤職員についての記事が出ていた。
ここ数年、パートタイマーの労働問題は自分の問題であり気に留めているが、またか、と思ってしまうのも事実だ。低額労働者は右肩上がりに増え続け、マスコミも積極的に取り上げる。しかし、自分の11年間働いてきたことを振り返っても、改善されてきたという実感はない。むしろ、後退しているんじゃないだろうか。
この記事を皆さんにも読んでいただきたいが、要旨は、自治体の歳入減に対応して正規職員から、安い賃金ですむパートタイマー(これをなんと呼ぼうが)に置き換え、住民サービスのニーズの増大に応えるというものである。パートは不安定な雇用に、いつもびくびくし、何年たっても1円も上がらない時給や、一方的な労働条件の改悪にいきどおりを感じるが、未組織者はどこへどう言っていいものか悩む。
最近は民間委託や民営化による解雇の不安もつのる。仕事上の能力も認められず、一般職からきた職員とのはなはだしい賃金差。こういう事態は、正当な労働なんだろうか?
この記事の中で、注目したのは地方公務員法による非常勤・臨時職員の位置づけで、「法的にあいまいな立場」とされているところだ。そこを、総務省は本格的な業務に就く非常勤職員や、有期雇用の常勤職員を採用できる仕組みをつくり、法的に位置づけようとしているらしい。
え!ということは私たちは違法で働いているのか。
全国の市町村立図書館の“非正規”公務員はどんな扱われ方で働いているのだろうか。
嘱託職員、臨時職員、非常勤職員、再雇用職員、委託先からの派遣、本庁から来たバイトさん、パートさん、リタイアーした先生それからそれから、何がどう違うのか教えて欲しい。
以前、知り合いが「あんたたちバイトは文房具と同じ消耗品費から支払われている」と聞かされて愕然としたものだ。ここまで、見下されているとは。まさか事実とは思わないが、雇用者(図書館)は、これからの図書館運営の“人“の問題をどのような方向に位置づけたいのか、本音のところがさっぱり見えてこない。
カウンター業務の現場にいても、参考図書室にいても図書館の仕事はいたって専門的な仕事だと思う。それなのに、これぞスペシャリストと呼ぶにふさわしい人間はいるのかいないのか? 図書館批判の中にかならず、パートのような本のことを知らない素人を使うのは困る、というものが入っている。ならば、有資格の正規職員ですべてかためるのがベストなのだろうか? 予算のために已む無く非常勤を使うのか、私たちはこの矛盾の犠牲の上に立っている。
『ず・ぼん』8号でも「非常勤職員という待遇とその給料」が特集され、正規職員との能力逆転現象など身近な話題があった。私はこの仕事に就いてから、もちろん自前で司書資格を取った。でもそんなもの飾りにもならないしポイントも付かない。経験年数の価値評価もない。知っていることが多少ともあれば、自分自身の仕事が楽にはなるが。
また、正規+有資格が必ずしも優れた図書館員とは限らないことも、みな承知である。
様々な矛盾の中にある公立図書館は、思い切り透明性を高くして、内部で働く人たちにも、市民とも対等に話し合える、開かれた場が必要だと、切に思う。
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