▲ゴト技top| 第7章 1| 2| 3| 4| |
[第7章●バックアップについて考える] 2… バックアップ戦略 |
[2004.03.11登録] |
石田豊 |
前回書いたことをまとめると、「バックアップとはデータの複製を自分のコンピュータとは別の場所に保管すること」とということになりますでしょうか。なんだか、こう書いちゃうと、ホント単純でカンタンなことのように思えます。事実、とても単純でカンタンなことです。 でも、このカンタンなことができない。 バックアップが好きで好きでたまんない、なんて人はいないわけで、もしいたとしたら、その人はどっかおかしいと思います。私にしたところで、できればやりたくない。面倒くさいし。 で、正直に言えば、私は必ずしもキチンキチンとバックアップを励行しているわけではありません。 コンピュータ歴が長いとか、ヘビーな使い方をしているとかの人たちを見渡してみても、ビシっと定期的なバックアップを頑固に励行している人もあるが、逆に、ほんとにそれでええんか、世捨て人か、仏道の修行かといいたくなるほど、放下なさってる方もある。ところで雑談ですが、ATOKでは「ほうげ」では変換できないのに、「ほうか」ではOK。辞書をひくと「ほうか」でもアリらしいんだけど、ふつー「ホウゲ」じゃないのかなあ。てか、もう使わないか、きょうび。 私は、諸行無常派と備えよ常に派のほぼ中間。けっしてまじめなバックアッパーではない。 でも、いいんです。いえ、私自身のことではなく、バックアップをやってようと、やってまいと。どっちでもいいんです。ただし、条件があります。「結果をあまんじて受け入れるなら」。 まちがって削除してしまったファイルを復旧するとか、読めなくなったハードディスクを読めるようにするなどということを担うソフトがあります。仮に「レスキューソフト」とでも総称しましょう。このようなレスキューソフトの需要はたかく、よく売れています。 しかし、私は(そして多くのベテランユーザーたちは)そうしたソフトを使いません。なぜなら「意味がない」からです。というより「かえってリスクを増大させるキケンがある」からです。 OSは「コンピュータを動かすための基本ソフト」だという言い方をよくしますが、それは正確な説明ではありません。少なくとも、言葉足らずではある。同じ言葉足らずながら、もう少し実情に即した言い方をするなら、OSは「アプリケーションの下請けを一手に担うソフト」です。 われわれはさまざまな作業をアプリケーションを介して行います。作業の目的・内容に即してさまざまな種類のアプリケーションがあります。しかし、最終目的はアプリケーションにより千差万別であろうと、その作業を構成するパーツとしての作業の多くは、アプリケーション独自のものではなく、共通しています。たとえば「印刷をする」とか「保存をする」とか「まっすぐの線をひく」とか。 こういった、「作業のパーツ」のような部分を、アプリケーションからの依頼により、一手に下請けしているのがOSだ、と考えると、OSのことが少しは理解できるようになります。 いいOSとは、発生しうる「作業のパーツ」のさまざまを、いかに多く、着実安定して、効率よく提供できるかという尺度で評価されますし、いいアプリケーションとは、うまくOSが提供しうるサービスを活用しているものなのです。 翻って、レスキューソフト。壊れたファイルを復旧するというのは、もともとOSの機能ではありません。もし、それが機能であるなら、わざわざレスキューソフトが必要であるわけはありません。OSの基本機能で行えばいいのですから。 ファイルの存在をどのように認識し、把握するかはOSのシゴトです。OSが管理しているその領域を、OSとは相談なしに触るというのがレスキューソフトです。 現時点のレスキューソフトは、本来OSが担うべき部分(つまり、よりハードウエアよりの動作)を実行しています。 イメージとしては、「別の脳」として動いているのです。脳がふたつあると、非常にキケンであるのは言うまでもありません。 現に、レスキューソフトを使うことで、いままで発生しなかったような問題が頻発するということもよく経験することです。 だから、私は、使わない。 しかし、ここまで言ってしまうと、議論も発生するでしょう。そんなリスクはないという方もあるでしょう。弊社のレスキューソフトは完全であると主張される開発者もあるかもしれない。 そうした議論に参加する気持ちはないのです。なんとならば、「どちらにしても使わない」からです。壊れたファイルを復旧するニーズは私にはない。「結果をあまんじて受け入れ」ているからです。 ファイル事故で復旧を考えてしまうのは、行うべきバックアップを怠っていたからに他ありません。適切なバックアップがあれば、なにも壊れたものを復活させなくても、バックアップの方を使えばいいだけです。 つまり、何をどのような頻度でバックアップするか、というのは、万一の時に困るか困らないか、という尺度で考える、ということが必要なのです。 そこを考えないでバックアップしろと言われたからバックアップする、のなら、時間と労力とお金の無駄でしかありません。 バックアップ戦略のありかたは、自分自身であらかじめちゃんと考えておくしかないのです。 |
この記事は
|
お読みになっての印象を5段階評価のボタンを選び「投票」ボタンをクリックしてください。 |
投票の集計 |
投票[ 18 ]人、平均面白度[ 3.8 ] ※「投票」は24時間以内に反映されます※ |
ご意見をお聞かせください |
|
←デジタル/シゴト/技術topへもどる | page top ↑ |
▲ゴト技top| 第7章 1| 2| 3| 4| |
|ポット出版
|ず・ぼん全文記事|石田豊が使い倒すARENAメール術・補遺|ちんまん単語DB| |
|
|