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シブヤから遠く離れて
[2004.03.25刊行]
著●岩松 了
定価●2000円+税
ISBN4-939015-62-9 C0093
四六判/176ページ/上製
印刷・製本●株式会社シナノ
ブックデザイン●沢辺均
在庫有
【内容紹介】
廃墟になった家に思いを残す青年と、蝕まれはじめたわが身をもてあます女の、現前化しない「愛」の物語。岩松了×演出・蜷川幸雄の異色タッグによる話題の舞台の脚本。
【目次】
目次…3
1幕…7
2幕…51
3幕…89
4幕…130
上演記録…167
あとがき…168
【著者プロフィール】
劇作家、演出家、俳優。1952年長崎県生まれ。自由劇場、東京乾電池を経て現在は「竹中直人の会」「岩松了プロデュース公演」などで活動。1989年『蒲団と達磨』で岸田國士戯曲賞、1994年『こわれゆく男』『鳩を飼う姉妹』で紀伊國屋演劇賞個人賞、1998年「テレビデイズ』で読売文学賞。映画『東京日和』で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。初の小説『五番寺の滝』を書き下ろす。1999年、初のエッセイ集『食卓で会いましょう』をまとめる。
【岩松了インタビュー】
●玄関vs勝手口?
渋谷の廃墟を舞台に、脚本家と演出家の火花が散る。
整然とした理屈では説明のつかない感情のほとばしりを描いて、多くの観客を、俳優を、中毒にしている劇作家・岩松了。蜷川幸雄に託す新作は“無関係のふたり”が主役という。
ニュースに事欠かない演劇界でも、多くの人が色めきだった、蜷川幸雄と岩松了の顔合わせ。その化学反応を誰よりも楽しみにしているのは、意欲作を書き上げた作家らしい。
「蜷川さんの手にかかって自分の脚本がどうなるか、もちろん興味があります。芝居のタッチとは一見、全然違いますから。というのは二次的な興味で、もうひとつ、自分が小劇場系の人間でしょう。蜷川さんもある年代の人からはアングラ系と呼ばれるのかもしれないけど、勉強もきちんとなさってるし、演劇に正面玄関から入った人という印象が僕にはある。だから玄関から入った人と、勝手口から入った私と(笑)、一緒にやったらどうなるのかという興味も大きかった。
本当に最初のほうの段階で、蜷川さんが「こういうの、良くない?」とチェルノブイリの写真集を見せてくれたんです。事故後の村の家とか学校を撮った写真集。これをどうしたいとか、そういう話は一切ありませんでしたが、そのイメージはやっぱり、今回の脚本を書く何らかの拠り所になりました。蜷川さんが提出してくれた出発点に、僕も自分の世界を近づけたいと思いましたから。廃墟になった家が舞台ということもそうでしょうし、主人公ふたりの関係もそうでしょうね。
今回の主人公達の関係は、非常に曖昧です。というより、基本的には無関係。はっきりした関係性に縛られないふたりを軸にして、吹きさらしの人間関係を描きたかった。それはチェルノブイリの話の延長で、きっちりした世界を蜷川さんに与えたくなかったんだと思います。二宮(和也)くんと小泉(今日子)さんの実際の印象も、僕には“荒野に立ってる”イメージが共通していて、それも後押しになりました。おそらく僕は、あたかも関係のないようなふたりが、過去や未来は関係なく、その場で散らす火花を見たいんだと思います。自分で書いておいてこういう言い方もないですけど(笑)、脚本って、かなり無意識が含まれますから。だからそれが蜷川さんの演出で、どう出てくるのか、お客さんも楽しみでしょうけど、僕もすごく見てみたいんですよ」
(徳永京子/演劇ライタ-)
【誤植訂正】(2004.3.18)
P105
×ここから車で 分もかからないと思いますが。
○ここから車で 10分もかからないと思いますが。
▼「シブヤから遠く離れて」公式サイト
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