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ポット出版
書誌情報●たったひとりのクレオール
[2004-01-30]
たったひとりのクレオール

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たったひとりのクレオール
聴覚障害児教育における言語論と障害認識
[2003.10.20刊行]
著●上農正剛

定価●2700円+税
ISBN4-939015-55-6 C0096
四六判/512ページ/上製
印刷・製本●株式会社シナノ
カバー写真●鈴木 啓
ブックデザイン●沢辺 均

在庫有

【立ち読みする】
序章の一部を公開
■たったひとりのクレオール―はじまりの問い →html版




『たったひとりのクレオール』という1冊
無料【宣伝リーフレット】32ページ [2004.1.30発行]

→PDF版はこちらから[20.6MB]

■ 橋爪大三郎さん
◎東京工業大学教授
聴覚障害の実態やそれをとりまく社会的文脈、
聴覚口話法の意義と限界、障害者の自己形成などを、
体系的に論じた書物


■ 灘本昌久さん
◎京都大学大学院文学研究科非常勤講師・社会学「差別論」/京都部落問題研究資料センター所長
およそ差別論に興味のある人に
本書を強くお奨めする


■ 酒井邦嘉さん
◎東京大学大学院総合文化研究科 助教授
バイリンガル・バイカルチュラル(二言語二文化)教育に
教育学のみならず、言語学や脳科学からの新しい
アプローチが必要


■立岩真也さん
◎立命館大学大学院先端総合学術研究科助教授
障害の子どもたちが「統合」を
求めてきたことをもっともだと思う立場を維持した上でも、
著者の「統合」否定はわかる


■福嶋聡さん
◎ジュンク堂書店 池袋店
直接触れることのできる書物は、
聴覚障害者にとって健聴者以上に重要



【案内文】
決してきちんとは「聞こえない」にもかかわらず、「聞こえているはず」という
視線の中で生きていかざるを得ない子どもたちの苦しみを、私たちは
本気で考えたことがあったのだろうか。(本書より)
約10年にわたる論考の数々によって、
聴覚障害児教育に潜む諸問題を分析し、新たなる言語観、
障害観を提起する試みの書。
読者をさらなる思考へと誘う、
著者自身による詳細な注が、本書の特徴です。


【目次】
序章
■たったひとりのクレオール―はじまりの問い…………10

第1章
インテグレーション再考

■1 インテグレーションの現状と課題…………26
はじめに…………26
1 インテグレーションの現状…………34
2 インテグレーションの課題…………54
3 根本問題―コミュニケーション・言語力・学力…………86
4 補遺…………102
おわりに…………106

■2 難聴児の自己形成方略―インテグレーションの「成功例」とは何だったのか…………110
1 インテグレーションの「成功例」…………110
2 〈聞こえなさ〉の中の自己形成方略…………112
3 アイデンティティの再構築方略とその問題…………133
4 「第三の世界」問題…………137
5 今後の課題…………150

■3 聾学校の在籍生徒数はなぜ減ったのか?…………156
理由ははっきりしていたのではなかったか…………157
学力保障という本質問題…………160

■4 混迷と転換の季節の中で―変わることと変わらないこと…………164
1 デフ・フリースクールからの異議申し立て…………166
2 聾学校の統廃合…………170
3 特別支援学校構想…………174
4 「学校生活支援員」制度…………176
5 新生児聴覚スクリーニング検査…………180
6 変わることと変わらないこと…………183

第2章
学習論

■5 聞こえない子どもたちは何のために勉強するのか…………188
はじめに…………188
1 学力問題…………193
2 親の願望…………195
3 親の願望の底に隠されている無意識…………198
4 聞こえない子どもにとっての勉強の目的…………203
5 言語力と思考力…………214
6 「言語力」ということをどのように考えるか…………215
7 書記日本語という問題…………218
おわりに…………224

■6 聴覚障害児の学習とことば…………228
はじめに…………228
1 なぜ学力が問題にされるのか…………229
2 学力不振・低学力の原因は何か…………234
3 聴覚障害児にとって「学力」とは何か…………248
4 障害観の問い直し―アイデンティティの問題…………253
5 学習上の基本的考慮点…………256
最後に…………258

■7 難聴児の学力について―その前提認識…………260
1 はじめに…………260
2 二つの話…………262
3 前提認識の再確認…………272
4 難聴学級…………279
5 自然主義的対応の問題…………286

第3章
障害認識論

■8 障害「受容」から障害「認識へ」…………294
はじめに―障害観の問い直し…………294
1 障害受容…………297
2 障害認識という考え方の骨格…………303
3 実践への適用…………312
おわりに…………319

■9 聴覚障害児教育における障害認識とアイデンティティ…………322
1 講演テーマについて…………323
2 障害認識に対する現状の受け取り方…………325
3 講演の構成―結果から原因へ…………327
4 問題を考える際の「土台」としての障害認識…………331
5 現実の諸問題…………336
6 無意識の中にある価値観…………346
7 否定的自己像の形成…………351
8 「理解」に到達する方法は一つではない…………358
9 障害認識論という思考方法…………361

■10 ありのままの感情から深い理解へ―お母さんへのメッセージ…………372
名古屋の皆様へ…………372
1 すべてに先行し、すべてを決定する親の障害「認識」…………374
2 障害に対する無意識の否定的感情…………376
3 正直な感情を認めるころからの再出発…………379
4 親自身の持続的学習の必要性…………383

■11 彼らのいる場所―難聴児と読書…………388
1 私たちは本を読まなくなった…………388
2 読書についての基本的問い…………389
3 難聴児のいる場所―「境界」…………392
4 〈自己イメージ〉という問題…………393
5 〈変容〉ということの意味…………396
6 難聴児にとっての読書の本質的意味…………398

第4章
リテラシー論

■12 リテラシー問題を議論する際の前提条件…………404
1 なぜ前提条件を問題にするのか…………404
2 聾教育でのリテラシー獲得状況―教育実践とその現実的結果…………408
3 リテラシー能力獲得児は何を物語っているか…………412
4 リテラシー教育の目的は何なのか…………418
5 考え方の根底にある言語観の問題―自然主義的言語観…………423
6 言語獲得の中での書記日本語の位置づけ…………432
7 最後に…………445

■13 聴覚障害児教育における言語観と学力問題…………448
1 「言語」という見落とされてきた根本的視点…………448
2 言語獲得システム…………452
3 音韻論という考え方…………455
4 日本手話の研究と導入がもたらす新たな課題…………458
5 これからの学力問題―手話とリテラシー問題…………463

終章
■障害認識論とヒルバーグ的立場―どうして私たちはそんなことをしたのでしょう…………468

文献一覧
事項索引
人名索引


【著者プロフィール】
上農正剛(うえのう・せいごう)
九州保健福祉大学言語聴覚療法学科専任講師
1954年生まれ。早稲田大学卒業後、
聞こえない子どもの個人指導(学習・言語指導)に17年間携わる。
この間に、聴覚障害児を持つ母親を対象に
「難聴児学習問題研究会」を主宰。
トータルコミュニケーション研究会運営委員、
「ろう教育を考える全国討論集会」共同研究者を務めるほか、
近年は、障害認識論とリテラシー論についての講演多数。
1999年より現職。

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