デジタル時代の出版メディア

発行:ポット出版
湯浅 俊彦 著
定価:1,800円 + 税
ISBN978-4-939015-27-4(4-939015-27-0) C0000
四六判 / 200ページ /上製
[2000年08月刊行]

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内容紹介

出版をめぐる状況は世界的な規模で、大きな変貌を遂げている。学術雑誌はインターネット上であたりまえに公開。電子出版・インターネット書店・出版情報と物流情報のデジタル化・電子図書館、そして出版メディアのゆくえを語り尽くす、書店員の書いた一冊。

目次

はじめに

●一時間目 学術出版の世界は激変している
1……電子ジャーナルとはなんだろう
 学術雑誌は紙からオンラインへ
 インターネット上での公開のしくみ
 電子ジャーナルの利点と問題
2……活発化するドキュメント・デリバリー・サービス
3……CD-ROMの新しい展開
4……インターネットによる無料公開
5……学術出版の世界の激変はなにを示しているのか
6……出版業から電子メディア企業へ
7……日本の出版業界の変化
8……電子出版は日本の出版業界になにをもたらすのか

●二時間目 電子出版は出版を変えるか
1……電子出版とはなんだろう
2……編集過程の電子化
3……CD-ROMの登場
 電子出版としてのCD-ROM
 電子ブックの意義
 CD-ROMを使った情報検索
4……オンライン出版の時代へ
 「電子書籍コンソーシアム」の実証実験
 「デジタルキオスク」の実証実験
 デジタル・コンテンツのオンライン販売
5……オン・デマンド出版の急展開

●三時間目 成長するインターネット書店
1……インターネット書店の登場
 インターネット書店はなぜ生まれたか
 アマゾン・コムはなにをめざすのか
 アマゾン・コムに対抗するインターネット書店の動き
2……日本のインターネット書店の現状
 既存書店もインターネット書店開始へ
 書店以外からのインターネット書店への参入
 取次・出版社の考えるインターネット通販とは
 インターネット古書店の展開
3……外資系インターネット書店の日本進出はなにをもたらすのか
アマゾン・コムとベルテルスマンの日本進出計画
かならず始まる価格競争
加速化する業界再編成

●四時間目 出版情報・物流情報のデジタル化
1……書店のSA(ストアオートメーション)化の進展
 物流と直結していなかったPOSシステム
 SA化による書店間競争の時代へ
 変わりゆく書店店頭
2……取次の物流改善と出版社による「共同倉庫」構想
3……書協「Books」と「データベース日本書籍総目録」
4……「出版サプライチェーン・マネジメント」という考え方
5……近代出版流通システムの破綻と新たな秩序形成

●五時間目 出版メディアのゆくえ
1……電子図書館の登場
 電子図書館とはなんだろう
 諸外国の電子図書館の現状
 日本の電子図書館の現状
2……電子図書館と出版業界
 電子図書館は有料か、無料か?
 コンテンツ提供者としての出版社と取次・書店の役割
3……デジタル時代の読者像
4……出版メディアのゆくえ

あとがき
索引

前書きなど

(前略)私は「電子出版」と呼ばれるものが、現在の出版物の一般的な形態である本や雑誌をすべてなぎ払ってしまうなどと主張するつもりはありません。また、「電子出版」の良いところだけをことさら取りあげて、バラ色の出版未来論を展開する気もありません。そうではなく、現在進行形の事態をできるだけ総合的に分析して、今後の出版メディアをその流通も含めて展望してみたいと思っているのです。(後略)

担当から一言

印刷本なのか、電子本なのか。
これからの出版社・取次・書店・読者を考えるために必読の1冊!

著者プロフィール

湯浅 俊彦(ユアサ トシヒコ)

1995年、大阪府豊中市生まれ。
全国一般労組大阪府本部・旭屋書店支部メンバー。日本出版学会会員。書店トーク会事務局。
著書に『書店論ノート〜本・読者・書店を考える』(1990年、新文化通信社、現在品切れ)、『「言葉狩り」と出版の自由〜出版流通の現場から』(1994年、明石書店)。
共編著に『多文化社会と表現の自由〜すすむガイドライン作り』(1997年、明石書店)。
共著に『阪神大震災〜33名の報告と証言』(1995年、日本エディタースクール出版部)、『岩波講座 現代社会学 第15巻 差別と共生の社会学』(1996年、岩波書店)、『出版の検証〜1945—1995 敗戦ゥら現在まで』(1996年、文化通信社)、『言葉は社会を変えられる〜21世紀の多文化共生社会に向けて』(1997年、明石書店)、など。
論文に「出版の自由と書店—大阪府青少年健全育成条例を中心に」(『出版研究』第25号、1995年)、「多文化社会と出版の自由」(『早稲田文学』1995年6月号)、「Discriminatory Language and Freedom of Speech」(『Japanese Book News』No.8 Fall 1994)など多数。

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