ず・ぼん4●特集:どうする、どうなる?大学図書館 [大学図書館の開放度はどんなもん?-2] 旧帝大の図書館はやっぱり「狭き門」 東北大学附属図書館本館 の場合

特集:どうする、どうなる?大学図書館
[大学図書館の開放度はどんなもん?-2]
旧帝大の図書館はやっぱり「狭き門」 東北大学附属図書館本館 の場合

堀 渡●本誌編集委員
[1997-12-10]

 杜の都仙台の東北大学といえば、日本で三番目に古い旧帝大。女性が女性という理由で大学に入れなかった戦前、いろんな条件は付けたものの、正式の学生として最初に門戸を開いたのがこの東北帝国大学である。一九一三(大正二)年。二番目の同志社大学が一九二三(大正十二)年だから、きわめて先進的な大学なのだ。
 その東北大学の図書館が立派な「学外者への利用案内」を作っている。さすがに先進的な伝統は受け継がれていると思って中身を開くと、これが相当手強い。まず利用手続きがたいへん。複雑な上に、利用目的、利用希望資料名、調査内容等を明記しなければならない。貸出しはもちろん不許可。

 「公共図書館等では入手できない専門・学術的資料の利用を希望される学外者」とはじめにクギをさされているので仕方がないのかもしれないが、正直なところ一般市民にはかなりしんどい。学外者が旧帝大の貴重な資料を利用させていただくためには、それ相応の覚悟が必要ということか。そういえば、戦前の東北帝国大学の女子学生の数もたしか二桁を越えなかったはずであった。
 やっぱり旧帝大の図書館は、「狭い門から入りなさい」(マタイ福音書)といっているようである。