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1月の出来事・考え事

[2003-1-28(火)]

おさがしの物件

空木茜
akane8@mx2.ttcn.ne.jp

 国際基督教大学博物館 湯浅八郎記念館 にでかけ、公開講座を聴いた。講師は目黒区立美術館学芸員の降旗千賀子さんで、「紙を知る楽しさ―素材と表現」と題された面白いお話だった。(1月25日)

 降旗さんは新しい企画をつぎつぎ展開されているので、以前から注目していた。堅苦しい公立美術館のイメージを一新して、フレッシュな市民参加型のワークショップや異色のアーティストも無名の人もコラボレイトしてしまう。ムサビの後輩でもある。3月からは美術館で!「からだのワークショップ」を数回にわたってこれも、市民参加で行なうようだ。舞踏家の大野慶人さんを囲んで。

 同じ公共施設でも、図書館はどうだろう。おはなしかい、作家の講演、テーマ展示、ほかにもアクティブな図書館活動があるのかもしれないが、受動的な気がする。

 「おさがしの物件」の意味は、マルチメディア館としての図書館を想定して、21世紀型のマルチパーパスな施設が出来て欲しいと空想しているからで、知りたいことは紙の本に限らず様々なツールから、網の目状に探索できる。そんな施設を。活字系―視聴覚―インターネット、そこにプロフェッショナルなマルチパーパスの司書さんがガイドしているような、媒体が縦横に検索でき、知りたいことの核心に辿れるような情報館。

 司書によるレファレンスは必要だと思いますが、知りたい本人が自由にアクセスできる環境を整えることこそ先決なのである。利用者は主体性を持って。小学生からの図書館利用教育もたいせつでしょう。

 前回、探していたドイツ語の本は紀伊國屋へ注文してみました。店の端末でもヒットせず、外国の取次ぎと取引がなければ、手に入らないとのこと、いつになるか不明。洋販のサイトで注文はできるようですが、この結末は順次報告いたします。

[2003-1-27(月)]

NHK「クローズアップ現代」が
放送した
「ベストセラーをめぐる攻防
作家vs図書館」 に対する
町田市立図書館の見解を
掲載します

 

昨年の11月にNHKの「クローズアップ現代」という番組が、「ベストセラーをめぐる攻防 作家vs図書館」を放送した。番組では、図書館の事例として町田市立図書館(東京都)、神奈川県立川崎図書館、浦安市立図書館(千葉県)を紹介していたのだが、町田市立図書館の取り上げ方は、「これは、ないんじゃない?」と思う内容だった。制作者側があらかじめ、町田市立図書館は複本を大量に購入するよくない図書館という役割ね、と決めて作ったのではないか?と思ってしまった。
番組終了後、視聴者町から町田市立図書館と町田市長宛に、批判が寄せられたそうだ。そこで町田市立図書館は、市民に向けて番組に対する図書館の見解を発表した。以下に、全文を掲載する。
(ポット出版・佐藤智砂sato@pot.co.jp


――――――――――――――――――――――――――――――――
ベストセラーの複本購入をはじめとする図書館の蔵書構成について
―NHK「クローズアップ現代」(11月7日放送)に対する図書館の見解―

はじめに

 NHKの報道番組「クローズアップ現代」は、去る11月7日に「ベストセラーをめぐる攻防〜作家vs図書館〜」を放送しました。図書館がベストセラーの複本(同じ本)を購入することについて、まず前半で、それに異議を唱える作家・出版社と、ある程度の複本の購入は必要であるとする町田市立図書館の主張をそれぞれ紹介しています。
 間に糸賀雅児・慶応大学教授(図書館情報学)のコメントを挟み、後半では、これからの図書館の目指すべき方向を示唆するものとして、科学と産業に収集分野を特化した神奈川県立川崎図書館とビジネス支援を掲げた浦安市立図書館の2館を取り上げています。
 最後に糸賀氏がこれからの図書館は、資料を揃えて利用者を待つという受け身の姿勢から、情報を発信する「地域の情報拠点」、「知的インフラ」としての役割を果たす必要があるとコメントして終わっています。
 町田市立図書館は、視聴者に誤解を与える内容になることを危惧し、取材を受ける過程でNHKの番組担当者に再三客観的な番組制作を要請しました。そのために必要な資料は、積極的に提供もしてきました。しかし、放送内容は、町田市立図書館にとっては不本意なものでした。現に番組を見た何人かの視聴者から、市長や図書館に宛てて、図書館のあり方に対する批判が寄せられています。
 そこで、市民の皆様に対し、町田市立図書館としての見解を以下のとおり明らかにしたいと思います。

1.放送は、町田市立図書館の実態を正しく伝えていません

[町田市立図書館はベストセラーだけを大量購入している図書館ではありません]
 今回、放送で取り上げられた『ハリーポッターと炎のゴブレット』については、町田市立図書館は全館で上・下50冊ずつ購入しています。番組の中では、ナレーターが「上・下巻合わせて100冊購入」と言ってましたが、聞きようによっては、同じ本を100冊購入していると誤解されかねない表現です。他にも、「ベストセラーの大量購入」という言葉を繰り返し、町田市立図書館が特にそのことを積極的に行っているかのような論調が目立ちました。町田市立図書館のサービスを知らない視聴者は、ベストセラーばかりを大量に貸し出しするだけで、専門書も購入せず、レファレンスその他のサービスも、お座なりな図書館であるかのような印象を持つと思います。

[利用者の要求に応え、複本も用意するのは、図書館として当然の使命です]
 また、糸賀氏の発言も、「全国の図書館があれ程の冊数を買っているわけではない」と町田市立図書館が、あたかも例外であるかのような言い方でした。しかし、利用の多い図書館が一定の複本を購入して貸し出すのは、ごく一般的なことです。複本の冊数については、図書館の規模、館数、利用者数、予算等を勘案して決めます。全国でも有数な貸し出しをしている町田市立図書館が、納税者である多くの市民が希望するベストセラーを、数十冊単位で購入するのは当然のことではないでしょうか。
 ベストセラーの場合は、リクエストしてから半年以上お待ちいただくというのが実情です。しかも、ベストセラーといっても、図書館の場合は、一過性の人気ではなく、いわゆるロングセラーとして、数年にわたって借り続けられる場合が多いのです。ですから、利用が一段落して、図書館の書架に並ぶ頃には、ボロボロに痛んでいることも珍しいことではありません。同じ本が何十回も借りられるわけですから、本としての使命を十分に果たしたといっても過言ではありません。それでもなお、利用に耐えるものは、保存用を除いてチャリティ古本まつり等でリサイクルされますので、資料費を無駄に使っているということにはならないと思います。

[図書館の複本購入は、子どもたちの活字離れを防ぐ役割も果たしています]
 しかも、「ハリーポッター」のシリーズの場合、活字離れが著しいといわれている若い利用者に根強い人気があり、長編を初めて読破したということで、自信を持つようになった子どもたちも多いようです。それをきっかけとして、本を読むことの楽しさを知ったという子どもたちが存在することも報告されています。このことは、『五体不満足』や『だからあなたも生き抜いて』等にも共通して言えることで、もし図書館が一定程度の複本を購入して利用者に提供していなければ、読書することの喜び、楽しさを知らないまま大人になってしまう子どもたちもいるのではないでしょうか。
 ベストセラーだから、取るに足らないつまらない本という見方は偏見です。多くの人々が支持するのは、やはり大きな魅力を秘めた本だからなのです。

[図書館が貸し出しをしなければ本は売れるようになるのでしょうか]
 作家や出版社側は、図書館で貸し出されなければ、その分購入する人々が増えるはずだと主張していますが、果たしてそうでしょうか。図書館で借りられるからこそ読んでみるという利用者はとても多いのです。また、図書館で読んでみてから購入するかどうかを決めるという利用者もいます。つまり、本当に手元に置いておきたい本なら、図書館があってもなくても市民は自分で購入するのです。図書館が積極的に本を貸し出すことによって、活字に親しむ層が増え、結果的に本が売れるようになるということはあり得ても、図書館が本の貸し出しを規制すれば本が売れるようになるなどというのは、まったくの幻想にすぎません。

[ベストセラー購入の図書購入費に占める割合は、ごくわずかです]
 取材のときには、町田市立図書館は、ベストセラーだけを購入しているわけでなく、図書館として必要な図書は、きちんと購入しているということを再三伝えました。また、ベストセラー購入の図書購入費全体に占める割合、ベストセラーの貸し出しが図書全体の貸し出しに占める割合が、いずれもごくわずかなものであることを実証したデータ(注)も提出して説明しましたが、残念ながら放送ではそれらのことには一切触れられませんでした。

(注)ベストリーダー100の購入費が、図書購入費総額に占める割合は、4.86%に過ぎず【表1】、ベストリーダー100の貸出冊数が、図書貸出総冊数に占める割合は、1.34%でしかない【表2、いずれも2001年度の実績】。

【表1】ベストリーダー100の購入費が図書購入費総額に占める割合
ベストリーダー100の購入費……499万6千77円
図書購入費総額……1億280万1千円
図書購入費総額に占める割合……4.86%

【表2】ベストリーダー100の貸出冊数が図書貸出総冊数に占める割合
ベストリーダー100の貸出冊数……4万8千378冊
図書貸出総冊数……360万7千276冊
図書貸出総冊数に占める割合……1.34%


2.これからの図書館のあり方として取り上げられた例は、はたして適切でしょうか

[市町村立図書館が分野による特化を始めたら、図書館の魅力は半減します]  神奈川県立川崎図書館が、自然科学、産業の分野に特化して資料提供している様子が取り上げられていましたが、市町村立図書館をバックアップする機能が中心である県立図書館だからできることであって、利用者に直接サービスしている市町村立図書館では、そのような特化はあり得ないことです。このことは、町田市立図書館6館にそれぞれ収集分野を分担させるということを想定すれば、まったく現実的でないということが分かると思います。例えば、中央図書館は、社会科学、さるびあ図書館は、歴史と文学、金森図書館は、自然科学を受け持つという具合です。利用者は、その分野を担当している図書館に直接出向くか、最寄りの図書館でリクエストをして取り寄せるかのどちらかになるはずですが、いずれにしてもたいそう不便になることだけは、間違いありません。しかも、もともと図書館を利用しにくい人たち(高齢者、障がい者等)が、ますます利用しにくくなるのではないでしょうか。
 それ以上に問題なのは、収集分野を分担した図書館が仮にできたとしても、それでは図書館としての魅力がまったくと言っていいほど、なくなってしまうことです。図書館を訪れるのは、特定の分野の本が読みたい、あるテーマについて調べたい等、何か目的があっての場合もありますが、特に目的はないけど、書架をのんびり眺めながら、おもしろそうな本があれば借りたいという場合も多いものです。そのとき、ふと目にとまった本との思いがけない、あるいは運命的な出会いを経験された方も多いと思います。それこそが読書の醍醐味であり、図書館へ行く楽しみでもあります。分担収集は、図書館の魅力を半減させることになるでしょう。
 神奈川県立川崎図書館のような分担収集は、管内の市町村立図書館へ協力貸し出しをすることが主要な仕事である都道府県立図書館ならではの工夫です。なお、放送で紹介されたネットワークについても、町田市立図書館は、都立図書館を始め、全国の図書館とネットワークを組んで、自館で所蔵していない本を取り寄せるサービスを行っています。もっとも、これはほとんどの公立図書館が行っているサービスで、目新しいものではありません。

[浦安市立図書館でもベストセラーの複本購入を行っています]
 浦安市立図書館のビジネス支援は、図書館のレファレンス機能を活用し、ビジネスに必要な資料・情報を提供しようというものです。確かに今重視すべき視点ですが、レファレンスサービスそのものは、町田市立図書館も実施しており、高い評価を得ています。今回の放送では、そのことについて何も触れてもらえませんでした。
 また、浦安市立図書館でも、ベストセラーは相当数所蔵しています。『ハリーポッターと炎のゴブレット』は、上・下各23冊所蔵しており、上巻が237件、下巻が234件のリクエストを受けています。町田は、上・下各50冊所蔵していますが、上・下とも471件のリクエストがあります(いずれも、11月17日現在)。1冊当たりのリクエスト数の比率は、たまたまほぼ同じですが、町田市の人口は、浦安市の約3倍であることを考えるなら、町田市立図書館の購入が特に多いということにはならないと思います。
 更に、放送では浦安市立図書館が「大人へのサービス」を強調していることも紹介されていました。町田市立図書館も、少子化等の影響で児童の利用が減少し、大人の利用が増えていることは事実です。しかし、だからといって、子どもに対するサービスをないがしろにするつもりはありません。子どもは、将来の図書館利用者ですし、次の世代を担う大切な存在ですから、町田市立図書館は、児童やヤングアダルトに対するサービスにも引き続き力を入れていきます。


3.公立図書館は、何のために存在するのでしょうか

[公立図書館を無料で利用できるのは、市民の権利です]
 公立図書館の基本的な機能は、利用者が求める資料・情報を提供することにあります。図書館は、市民一人ひとりが必要な資料・情報を手軽に入手することで、より豊かな人生を生きるために存在します。だとすれば、新刊書や雑誌等についても、できるだけ豊富に揃え、利用者に提供するのが、公立図書館の使命ではないでしょうか。もちろん、予算等の制約がありますから、その限られた条件の中でいかに目的にかなう蔵書構成を作り上げるかが、私たち図書館員に求められる専門性の一つでもあります。
 図書館法第2条は、図書館の目的を「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資すること」と規定しています。小説や趣味に役立つ本、生活に必要な資料・情報を利用者の権利として、無料で手に入れることができるのが公立図書館なのです。

[貸し出しに対する批判は、何を意味するのでしょうか]
 町田市立図書館は、1960年代末から日野市立図書館をはじめとする多摩地域の図書館が先頭に立って実践した「市民の図書館」の理念を継承し、全国でも有数の活動を展開してきました。1990年に待望の中央図書館が開館してからは、これまで十分できなかったレファレンス、地域資料やハンディキャップサービスなどにも力を注いできました。まだまだ、不十分なところも多くありますが、今日のようなサービスが可能になったのは、貸し出しやリクエスト制度の確立に力を注いできた結果、ようやく図書館の存在が利用者に浸透してきたからではないかと思います。
 かつて鶴川の地で、50年もの長きにわたり、農村図書館に始まる私立図書館の運営を続けた、故・浪江虔さんは、「市民の図書館」が全国に拡がった実態を「図書館革命」と名付け、高く評価しました。しかしながら、最近の風潮として、それを「貸出至上主義」「無料貸本屋」等と批判的に捉える動きが顕在化しています。その背景には、逼迫した自治体財政の問題などがありますが、先進諸国に比べて図書館が立ち後れている我が国の現状を更に昔の状態に後戻りさせる動きというほかありません。今回の事態も、そのような動きと無縁ではあり得ないと思います。


4.ベストセラーの複本購入は、どこに問題があるのでしょうか

[出版物が売れないことを図書館の貸し出しのせいにするのは大きな誤りです]
 改めて論点を整理してみます。今回の放送は、「ベストセラーをめぐる攻防〜作家vs図書館〜」というタイトルが示すとおり、作家・出版社と図書館の対立というように描かれています。すなわち、作家・出版社側は、「図書館がベストセラーを大量に購入し、貸し出すから、本が売れない」という論法です。これに対して、図書館側は、ベストセラーの購入費が図書購入費全体に占める割合や、ベストセラーの貸出冊数が図書の全貸出冊数に占める割合を資料により示し、それがごくわずかであることを実証しました。
 そのことが明らかになってきたため、出版物の売り上げ(右肩下がり)と図書館の貸出冊数(右肩上がり)を対比させ、「図書館が無料で本を貸し出すから、本が売れない」という見当違いの論法を持ち出すに至っています。そして、それが公共貸与権(公貸権)導入の主張に結び付いているのです。しかも、それだけでにとどまらず、「新刊書など市場で流通しているものは、図書館で買う必要はない」、「雑誌などは、個人で買うべきである」という飛躍した議論まで出てくる始末です。そのように主張する人たちは、一体どのような図書館を望んでいるのでしょうか。一部の利用者しかいなかった30数年前の図書館に戻せという主張なら、まったく話は別です。

[町田市立図書館は、流通の仕組みから疎外されている本も購入しています]
 市場に流通しない本、個人で買えない本、そればかりを揃えた図書館を一体誰が利用するでしょうか。確かに、地方で出版された本、小出版社から出された本は、市場のルートに乗りにくいために、個人で手に入れることは困難かもしれません。版元から直接購入しなければ手に入らない本もあります。町田市立図書館は、そのように流通の仕組みから疎外されている本も、地方・小出版流通センターから選定用の本を取り寄せたり、出版者から直接購入するなどの方法で選書の幅を広げています。

[森羅万象にわたる資料を豊富に揃えることが図書館の使命です]
 図書館を利用する動機は、人によって様々です。時代小説・ミステリー小説・園芸の本・スポーツの本といった趣味や娯楽のための本を借りる人、生活に必要な情報を得るため、本を書くための調べもの、学校の宿題その他の目的を持って図書館を訪れる人、あるいは、特に目的の本を探すためではなく、書架にどんな本があるか眺めながらおもしろそうな本を探す人、実に千差万別です。利用者層も乳幼児から高齢者まであらゆる世代にわたっています。だから、図書館は、森羅万象にわたる資料を豊富にそろえる必要があるのです。


5.町田市立図書館は、利用者とともに歩みたいと考えています

[町田市立図書館は、分野ごとに選定会議を開いて購入する本を選んでいます]
 町田市立図書館は、多くの利用者に満足していただけるような蔵書構成を心掛け、そのための選書を行っているつもりです。町田市立図書館では、各図書館の代表が文学・一般・児童の分野ごとに集まり、選定会議を開いて、原則として実際の本を見ながら購入する本を選んでいます。複数の職員が様々な要素を考慮しながら、総合的に判断しており、職員個人の好みや恣意的な判断で選ぶわけでは決してありません。購入に際しては、リクエスト件数や、多くの利用が見込まれるか等を判断して、複本の冊数も決定します。もし、更に多くのリクエストが殺到した場合は、追加購入冊数も決めます。

[50冊購入しても、半年以上お待ちいただくことになります]
 「ハリーポッター」のシリーズは、大変人気があり、リクエストが殺到することが分かっていましたので、今回の『ハリーポッターと炎のゴブレット』については、最初から上・下50冊ずつ注文しました。リクエスト件数を考えれば、50冊というのは、決して多い冊数とは言えないと思います。前述したように、利用者を半年以上待たせるわけですから、予算さえ許せば、本当はもっと購入したいところです。
 「フロー(流通)よりストック(保存)を重視すべき」という議論がありますが、現に流通している本を購入するからこそ、保存が可能になるのです。図書館は、新刊を含め、現に流通している本(流通しにくい本も)を購入し、利用者に提供することを止めてしまったら、保存自体が成り立たなくなります。
 もちろん、資料購入費は限られていますし、低額に抑えざるを得ない状況にありますので、今までのように豊富に複本を買えるわけではありません。そのような意味からも、限られた資料購入費をいかに有効に使うかという視点に立って、資料を選んでいく必要があることは確かです。

[資料購入費は、図書館の「生命」です]
 しかし、図書館の「生命」ともいえる資料購入費が、これ以上削減されることは、図書館にとって致命的な事態です。複本の購入を控えるだけにとどまらず、図書館として最低限揃えておく必要がある本も買えないという事態になることは避けられません。「個人が買えるものは、図書館で揃える必要はない」という主張を正しいものとして認めるのかどうか、利用者としても真剣に考えていただかなければならない状況に至っています。何故なら、町田市立図書館のこれからのあり方を決めるのは、自治体の主権者である利用者・市民だからです。
 いずれにしても、町田市立図書館は、今後も市民の多数の声を反映した図書館運営に努めるつもりです。市民の皆様が、今回の事態を正確かつ冷静に理解され、これまで以上に図書館を支援してくださるよう、よろしくお願いする次第です。なお、この件に関してのご意見やお考えをぜひともお寄せいただきたいと思います。
                  2002年12月 町田市立図書館

[2003-1-20(月)]

おさがしの本のご案内

空木茜
akane8@mx2.ttcn.ne.jp

 前回、オリオン書房の「おさがしの本のご案内」のレシートがすぐれものだったので紀伊國屋書店新宿本店ならもっとすぐれているかと、やってきた。結果は小差はあるものの、同じプログラムで表示されている。利用者端末はどこのメーカーだろうか? 小差とはいえ案内図表示はオリオンの勝ち! 目的の本がF23にある場合、オリオンはFに○マークがあるが、紀伊國屋はF08 文化人類学と分野で表示してあり店内平面図にFはなく、置いてある場所の棚番号に○印されている。図面も細かくて読み取りにくい。新宿南店でも同じ端末だった。日本橋丸善にも行ったのだが、端末のことをすっかり忘れて帰宅してから、以前有料検索したことを思い出した。

 1992年5月22日丸善日本橋店にて著者名「松原正毅」で検索を依頼する。当時のプリントアウトされた用紙を見ると11件ヒットされて、NIPS出版銘柄一覧表と表示されている。ナショナル・インターネット・プリント・システム? 違うか・・。誰か教えて。料金は確か1回のプリントで100円だったか? この当時書店で一般にサービスしているのは丸善だけだったと思う。10年でここまで来た。

 今や、インターネットである。魔法の箱のごとく、キーボードを打ちさえすれば古今東西の万巻の書物もたちどころに検索できる? そこで、お願いですが『Ich entdeke die Welt der Bibel』という本を手に入れたいのですが。借りるのでなく買いたいのです。

 この本は、国際子供図書館で見つけたもので、絵入の聖書物語で古代の人間の営みがくわしく描かれている。丸善、紀伊國屋でもヒットしないし、アマゾンでもだめだった。

著者: Otto Maire Ravensburg
出版社: Ravensburger
ISBN: 3-473-38501-8
1985年

ドイツ語の本です。ISBNは国際標準ではないのですか? 紀伊國屋で違うといわれましたが。
 おさがしの本も、洋書はくたびれます。ヨーロッパの本に強い本屋さんがあるのでしょうか? とりあえず、紀伊國屋に注文してみますが。

[2003-1-14(火)]

OPACで忙しさ倍増

空木茜
akane8@mx2.ttcn.ne.jp

年があけて、立川へ出かけたので立川市立図書館にふらりとお寄りしました。再開発された駅前はしゃれた都会の様相で、ここの図書館もおしゃれに見え、中で働く人さえおしゃれに見えたのは、老朽図書館で働くもののヒガミデショウカ?
『ず・ぼん』8号のお棚拝見隊で紹介された、「オリオン書房ノルテ店」もさっそくチェック。ワンフロアーで広々してきれいだ。利用者用端末でレシートも出してみる。すぐれもの! 棚の配置が図示され、欲しい本の位置がわかる。お客さんにとっても本屋さんにも助かるレシートだろう。また、自分のところと比べてヒガンデしまう。
毎日、毎日図書館のレシートがこわい。なぜって、表示の悪さもさることながら利用者が自分で探せないので、私たちが駆けずり回ってお探しするのです。オリオン方式ならもう少し楽になるだろうに。それと、閉架の本が多いためレシートの束をにぎりしめて、小走りで閉架書庫へなんどもなんども往復。
年あけで利用者が多く、自分で探して!と叫びたいのをガマンしている今日このごろです。OPACは目録カードに変わる利用者の利便と、図書館の合理化として導入されたのではないでしょうか。合理化どころか、コイツが増設されてから忙しくなるばかり。
それにしても、立川市立図書館は5時の閉館間際でも、ゆったりとしていて、またもや、違いを感じながらヒガミッパナシの年あけとなりました。

[2003-1-4(土)]

ごめんなさい

空木茜
akane8@mx2.ttcn.ne.jp

12月20日の「図書館の出来事」サイト記事に誤りがありましたので、訂正し、お詫びいたします。
図書館業務の民間委託のところで、豊島区立図書館は江東区立図書館が正しいのでした。サイトを見た方からご指摘を受けました。
単純ミスですみません。豊島区立図書館へは、お詫び申し上げます。
なお、「都政新報」にも記事が出ていました。
今後、図書館の民間委託の是非論が盛んになるのではと思われます。
私たち非常勤・アルバイトはどうなるのでしょうか?
委託会社に丸投げしていくのでしょうか?この不安定な雇用状況について、皆様のご意見をお待ちしております。

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