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真実・篠田博之の部屋[番外16] [2001年2月14日]
真実・篠田博之の部屋
[番外16]
 今回と次回は本来の流れとはちょっと違い、ここまでといくらか関係のある近況めいたことを書きます。別に飽きたのでなく、復習と予習、および報告のためです。
 先日、毎年恒例の遠藤誠弁護士の出版パーティで、久々に鈴木邦男氏に会いました。鈴木氏は「インターネットを読んだけど、結局、篠田さんとは何が問題なの?」と聞いてきました。長すぎて、ワケがわからんのは当然ではあるのですけど、どれもこれも問題だと思いますよ。
「ヤンナイ」でもそうだったように、鈴木さんは原稿料を払ってもらえなくても腹を立てないみたいですけど、私は腹が立ちます。鈴木さんは、以前、私が聞き手になった鈴木さんのインタビュー原稿を、私の質問のみならず、地の文章まで含めて無断で本に転載し、かつ私の名前も記載しなかったことがあるように、著作権意識がわりと希薄なようなので、文章を無断で削られたり、改竄されても腹が立たないのでしょうが、私は腹が立ちます(内容によりけり、事情によりけりですけど)。鈴木さんはいろんな脅しの類いを受けているので、慣れっこになっているのでしょうが、私は訴訟を臭わせて、文章を見られなくするように要求する脅しめたいやり方に腹が立ちます。鈴木さんは売れっ子になって、理不尽な理由で連載が打ち切られても痛くも痒くもないのでしょうけど、私は編集部を批判しただけで連載打ち切りを決定されたことに腹が立ちます。ことによると、鈴木さんはそのような扱いを受けたことがなくて実感がないのかもしれませんが、誌面での批判に対する反論を投稿してもひねり潰されることに私は腹が立ちます。
 それはそれとして、鈴木さんは、そのパーティでスピーチし、インターネットで名前を隠して人を批判するのは卑怯だとのことを言っておりました。私も半ば賛成します。鈴木さんのように、自分の住所や電話番号まで公開すべきというのでなく、また、本名を出せというのでもなく、責任所在だけは明確にした方がいいと思うのであります。
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 イーストプレスとのトラブルを説明した「黒子の部屋/お部屋139」に出てきた是安という編集者が最近退社したそうです。このことを私に教えてくれた人物は、「お部屋139」を読んでいないのですけど、この原稿のことは聞き知っていて、これが原因になって退社したのではないかとも思っていたようです。全然関係ないってば。だいたい退社の理由は推測できますけど、こうやって、また「松沢は怖い」ってイメージが一人歩きしてしまうんですよね。そんな力があるわきゃないじゃないのさ。
 私は是安氏には何の恨みもなく、「お部屋139」でも彼を明確な批判対象にしたつもりはありません。もちろん、あの当時、腹立たしさはありましたし、彼に何の責任もないとは言いませんけど、あの頃はまだ新人だったはずの彼が権利に疎く、編集の常識を知らなかったことはしゃあないですよ。ここで責められるべき人がいるとしたら、編集のルールを教えていない上司なり社長なりでしょう。
 彼らがやるべきことをしないために、私は彼らに代わって、是安氏にアドバイスをしたわけです。その意味では、恥ずかしい会社だと思いますよ。教えるべきことを教えずに迷惑かけたライターに社員教育してもらうんですから。その恥しさを自覚しないまま、「ギャラが安いと言われてトラブった」なんてことを言ってられる小林社長というのは、相当能天気で面の皮が厚い人なのでしょう。会ったことないんで、どんな人か知らないですけど。
 そんな人だから、社員教育もロクにやらないと言えるわけで、私があの原稿で[社長がそんなことを言っている会社と仕事をするのはイヤだ]と書いているのは、整合性があります。イヤですよ、同じようなことを繰り返されるのは。
 経営陣が現場にはほとんどタッチしないような大きな会社の場合は、「経営陣は気に入らないが、現場の人間たちは信用できる」ということがあるかと思います。組合がしっかりしていて、編集に経営陣を介入させないような会社はもちろんそうです。しかし、編集と経営をはっきり分けられない程度の規模の会社となると、そうはいきません。
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 新潮社OH!文庫で、『魔羅の肖像』と同じ時に出た小枝義人編『永田町床屋談義』というのがあります(「編」と書かれているわけではありませんが、どうやらこの本は、永田町の理髪店店主の言葉をまとめたもののようで、聞き役が「著」と名乗るべきではないため、ここでは「編」としておきます)。たまたま夕方のニュースを見ていたら、この理髪店を取材していて、店主にもインタビューしてました。どう見ても、この文庫からネタを拾ったものでしょうけど、本についてのコメントは一切ありませんでした。知らない人が見れば、この番組が独自で捜し出した人だと思うことでしょう。
 文庫担当者に聞いたところ、番組から「紹介して欲しい」との連絡があって店主を紹介したのですが、番組を見たら、一切本のことが紹介されてなかったため、抗議をしたとのことです。さすがテレビです。
 ある人物、ある出来事を何かで見て、それを自分の原稿でも取り上げようとするなら、引用という手があります。引用では事足りず、自分なりの切り口で、新たな取材をしようと思うなら、「かくかくしかじかの本で紹介されている人物に私も興味をもったので、取材してみることにした」と私なら書きます。「SPA!」の連載でいつもそうしていたようにです。こうしておけば、出版社としても、著者としても、本の宣伝にもなるのですから、たいていは快く連絡先を教えてくれるものです。また、連絡先を聞かずとも、自分で調べられる範囲のことは自分で調べます。
 というのが、常識的な対応でしょう。ところが、その番組は、こういうルールを見事に無視しています。自分で探しあてたようなフリをしたいのなら、せめて出版社に連絡先を聞かなければいいのに。104に電話する手間くらい惜しむなよ。
 また、非常に不思議なのですが、出版社を通さなくても、店主の言葉をまとめた本なのですから、取材させてもらうなら、テレビで紹介するのが礼儀でしょう。実際にどうしているか、よく知りませんが、私が本のまとめ役なら、この店主にも印税を支払うことでしょうから、売れれば売れただけ、店主にも金が入ってくるのです。
 これをすべてすっ飛ばす。どういう神経しているんでしょうか。こういうのは、新潮社のようにどんどん抗議すべきです。また、事前に確約をとるべきですし、それが守られそうになければ、取材を拒否すべきです。
 どっかの週刊誌で、テレ朝の「関口堂書店」を批判的に書いている人がいましたけど、私は本をしっかりと紹介するあの番組を評価してます。他の番組では、本の内容をそのまま使っても、クレジットのひとつも入れずに、すべて自分たちが調べたようなツラをしているのですから、それに比べればずっとマシではないですか。現に、あの番組のように、本の中身を抜き出して、テレビがそのまま取材をしたり、本のフレーズをそのまま使ったりしているのに、本の存在それ自体には触れないというのが、ほとんどすべてのテレビ番組のやり口です。「トゥナイト2」とかな。つまり、あの番組は、テレビの作られ方のネタばらしをしていると見ることも可能であり、「関口堂書店」が偉いのではなく、他の番組がひどすぎるということでしかありません。
 評価している私なのに、この間、あの番組を見ていたら、「出版の危機」みたいなことを言っていて、ムカッとしました。テレビが著作権を尊重し、礼儀正しい番組作りをやっていたのなら、本はもっと売れるはずです。出版の努力をタダで盗まず、テレビのスタッフだけで番組を作っていたなら、もっとテレビはつまらなくなっているのですから、テレビが自己批判なく、「出版の危機」などと言うのは、盗っ人猛々しいという話でしょう。ケッ、ちゅうカンジですよね。
            *
 新潮社の編集者とテレビのひどさについてダベッていいる時に、出版界のモラルも怪しいという話になりました。他人が取材したり、調べたことを、自分が取材したり、調べたことかのように書くライターがいるというのです。
 私もやられたのではないかと思われることがありました。京都に行った時に、街娼の知り合いと路上でダベっていたところ、そこに、ボスのオカマさんがやってきて、こう言います。
「あんた、また私のことを書いたでしょ」
 ボスには以前インタビューさせてもらっていて、このことは1年以上前に原稿にしています。しかし、それ以降、原稿にした記憶がありません。
「書いてないですよ」
「なんとかスクープとかいう実話誌に出ていたわよ。ホテトルのチラシ貼りのおにいちゃんが教えてくれて、もってきてくれたんだから」
「実話スクープ」という雑誌がありますけど、私は仕事したことがありません。
「絶対書いてないってば」
「私はあんた以外に取材なんて受けたことがないわよ」
 ボスは怒っているわけではないのですが、私としてはすっきりしません。なんか勘違いしているんだろうと思って、そのまま別れたのですが、私が書いた原稿をそのまま書き写した輩がいたんでじゃないかと気づきました。
 ボスにインタビューさせてもらうまでには長い経緯があって、4回も5回も会って顔を覚えてもらってから、ようやくインタビューを申し入れてます。もちろん、金も払ってます。こういう交渉能力がなく、平気でパクるヤツは十分いそうです。
「どうせ誰も見ないだろう」とでも思っているのか、こういう点では、エロ関係のライターには特にひどいのがいます。まるまる文章をパクられているのを発見したこともありますしね。人の文章を盗む暇があるなら、さっさと自分で書いた方が早いと私は思ってしまうんですけど、書こうとしても文章が器用に書けないヤツってホントにいますからね。だったら、せめて引用したことを明記しなさいよ。テレビじゃないんだから。
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