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日高の気文 [2000年06月08日]

JPC定例セミナーレポート
●2000年5月31日(水

先日行われたJPCの定例セミナーに会社から出席するようにと言われ、ホイホイと喜んで出席。こんな感じで社内レポートを書いて提出しました。ここに掲載するにあたって、ごくごくわずかに言い回しを変更した他は、ほとんど修正せずに載せています。
蛇足ながら、JPCさんはwebに代表連絡用のメールアドレスと、連絡先電話番号をわかりやすいところに載せて欲しいところです(まだ見つけられていません)
参照url→http://www.jpc.gr.jp/

【報告者】日高
【日時】2000年5月31日(水)13:30〜16:30
【内容と感想】
●2000年、日本語DTP環境が変わる
講師●上高地仁
○OS XでOpenType、ATSUI、Quartz等の新技術が採用される(遅刻のため、この部分聞き逃す)
○PDFを軸として、ようやく真のWYSIWYGが成立する
○出力(プラットフォームを移る、ということらしい)する際に、関連ファイルを漏れなく保存するインターフェースの確立(というか、「確立してほしい」という話)
○標準バンドルされるヒラギノ6書体は、17,000字あって、JIS X0201(ローマ字+カタカナ)+JIS X0208(78JIS)の約6900字と比較すれば倍以上の字体セットを持つ。このような膨大なセットが必要なのか?
○外字セットをユーザーが自由に登録して使うようにすればいい
○(InDesign導入によって)文字組版をテンプレートとして持つことができるようになる
→全体を通しての感想
前半部分、DTPの未来について講師の憶測と願望がかなり混ざっていて、話がやや迷走気味。PDFによるプリンタフォントレスな環境と、InDesignによる組版ルールのテンプレート化によって、DTPが(多少は)シンプルになる、という意見にはおおむね共感できる。
上高地氏は印刷の営業をやっていた人ということで、「現場の声」的な説得力はあるが、各論になると細かいところで納得いかない話が多いと感じた。たとえば、バンドルされる17,000字の中にはJIS X0213で最後まで揉めたといわれる「ハシゴ高」「内田百ケン」などの文字が含まれている。(予定)
「漢字は5000字もあれば充分」「いや1000字でもいい」という立場もあれば、「あれもこれも作字、外字フォントに頼る漢字環境にはうんざり」という立場もある。しかし現実問題として、DTPには電算写植の文字盤が持っている字体セット未満の字形しか(標準のセットとして)存在していなかったわけで、OSメーカーがこのような巨大(かつ、現実的な解をめざした)な字体セットを出してきたこと自体はそれ相応の評価をすべきでないかと感じた。
●InDesignの日本語組版能力
講師●アドビシステムズ株式会社 宮本弘
○InDesign日本語版とは
・「DTPがプロフェッショナルパブリシングの主流になるために」開発している、とのこと。現状ではまだまだ出版印刷のメインストリームは電算写植であり、このような現状を変えるためのアプリケーション=InDesignという位置づけを目指している
・日本語版1.0は、(先行して発売されている)InDesign1.5Eの8割程度の機能を盛り込んだものになる
○素材の取り込み、編集について
・フォトショップ、イラストレータのファイルをそのまま取り込める(eps等にする必要がない。つまり、フォトショップのレイヤー/文字レイヤーをそのまま保持できる)
・イラストレータ/フォトショップデータをコピーペーストで割り付けられる
・イラストレータデータ割付後、パスをInDesign上で直接編集できる
○日本語組版機能について
・ベースラインを基本の考えに置かず、仮想ボディを基本とした設計(仮想ボディがグリッドラインになるようになっている。スタジオD・前田さんのところで見た写植機の画面を連想させるつくり)
・版面および、「○文字×○行・○コラム」を指定すると、その設定がグリッドラインとなり、画面に表示される。写植のレイアウト用紙や、ポットで使っているイラストレータの「アタリ」レイヤと同じ発想。さらにそのガイドが即座にテキストフレーム(テキストボックス)になり、そのフレームの左下には常に「○文字×○行」と、入っている文字数が表示されているので、文字数計算が不要
・旧来の「スタイル」を相当細かく設定でき、書体・級数・字/行送り等の情報に加え、禁則や字下げの設定をここで入れられる。「出版社の組版ハウスルールを再現できるように作った」とは講師の弁
・圏点用フォントをアプリケーション字体に内蔵。「黒ゴマ」「白ゴマ」「蛇の目」(必要なのか?)等が圏点として設定できる
・合成フォントは、サンプルテキストをリアルタイムに変更可能かつ、設定がリアルタイムにサンプルに反映される
・PDF1.3ベース(Acrobat4.0以降で作ったもの)のPDFは直接割り付けられる
・QuickDrawプリンタで出力可能かどうかは検討中(1.0英語版はできない)
→全体を通しての感想
○噂にたがわず使いやすそうな印象を受ける。インターフェース全体もイラストレータそっくりで、ポットのデザイン業務の1/3くらいはほとんど何の苦労もなくInDesignに移行できそう、という印象を受けた。書籍編集用としては、それなりに設定をいじらないとダメだと思うが、設定したなりの成果が得られると思う。
○動作はかなり重たそう。(セミナーに出席していた某氏によれば「デモ機って、たぶんPBG3の500でしょ?アレであの重さはキツいなあ……」とのこと)画像をどんどん貼り込んだり、オブジェクトをどんどん置いていったときに、動作がどれくらい重たくなるのかは未知数
○発売時期については特に明言なし。今年の終わり、冬頃、というのは動かない模様
●Mac OS Xと日本語環境
講師:アップルコンピュータ株式会社 渡辺泰
○Mac OS Xの概説
AQUA
--------------------------------
Classic | Carbon | Cocoa
--------------------------------
Quartz | OpenGL | QuickTime
--------------------------------
Darwin
【補足】PowerMacintoshにおける「68Kエミュレータ」の位置づけとなる「Classic」、Classicと80%互換のAPIを持ち、OS Xネイティブの力を発揮できる「Carbon」、純粋なOS X開発環境である「Cocoa」の三段構えの構造を持つことにより、開発側は柔軟な移行ができ、ユーザーは過去資産を当面は安全に運用できる、という点を強調
なお、QuickTimeが「4」である、とは明言していなかったと記憶している
○OS Xの開発スケジュールは、夏に「パブリック・ベータ」を発表し、2001年1月出荷のプリ・インストールして出荷
【補足】OS Xの開発スケジュールは、先のWWDCでの発表と同じ。ただし、これがスケジュールの遅延ではなく、「1.0」として発売する予定のものを「パブリック・ベータ」という形態で配布するのだ、という点を強調していた。
○Quartzの採用により、OS X自体のネイティブ画像フォーマットはPDFになる。しかし、ここで生成されるPDFにはフォントの埋め込みはなされない
○Appleの認識する日本語DTPの問題点
・組版機能が貧弱
・フォントが高い
・高品質フォントが少ない
・外字/異体字問題
・出力トラブル
・プロテクト/機能制限
○今までのOSバンドルフォントの問題点
・TrueType/Bitmap(細明朝と中ゴシック)等、フォーマットが混在
・見出しに使えるフォントがない
・外字のサポートがない
○Mac OS Xでバンドルされるフォントについて
・バンドルフォントの内訳=
JIS X0213(JIS第3・第4水準)+Adobe Japan 1-4(アドビが規定している文字セット)+写植で使われている記号
・基本となる文字セット
 JIS X0201+JIS X0208→約6,900字
 JIS X0213→約11,200字
・基本となる字体セット
 Adobe Japan 1-2 約8,700字
 Adobe Japan 1-4 約15,500字
・バンドルフォントの字体は、Adobe Japan1-4+JIS X0213の字体のいくつか+写植文字盤にあるもののいくつか
○OS Xのフォント環境
Quick Draw Text | ATSUI | Cocoa
--------------------------------
Quartz
--------------------------------
OFA
--------------------------------
TT Scaler | T1 Scaler | xxx Scaler....etc.
--------------------------------
【補足】最下層の「○○ Scaler(フォントをラスタライスする機能。ATMのようなもの)」は、将来新しいフォントフォーマットが出てきても対応できるよう、継ぎ足し可能
○「補助漢字プロジェクト(JIS X0212)」は失敗
→この発言の真意がどこにあるかは不明だが、結果として、これを採用したWin98、2000との互換がとれない
○プリントアウトについて
・プリンタフォントレス
・新しいプリントアーキテクチャ
【補足】上記の文がスライドに表示されたが、具体的な説明は一切なく、会場からの質問に答えて「大日本スクリーンのMacを用いたRIPシステムのように、要はOS XとOpenTypeの環境はRIPになり、セッターに送ってもQuickDrawプリンタに送ってもフツーに出る、ということです」と言っていた
→全体を通しての感想
○大きなポイントについては、すでに発表された内容の繰り返しで、特に新味はなかった。ただし、生身の人間がしゃべると結構本音に近い話として聞くことができた。「OS XはRIPになる」という発言は少なくとも今まではなかったし、技術的にも、他社との関係上もできなかった発言だと思う。
○全体的に、アップルがかなり本気でDTP環境改善に乗り出そうとしている印象を受けた。(最近の報道では、iMovieの無料配布やQuickTime4.0、FireWireの話など、話題はDV/マルチメディア寄りのものが多く、DTPの話題はあまり取りあげられていなかったように思える)

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