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沢辺の気文 [1999年02月17日]

『本とコンピュータ』
Vol.8 1999春号
コラム原稿・採用版

半分に削って、なんとか採用してもらった。
ただし、ゲラでも少し直している。
掲載されたものは『本とコンピュータ』Vol.8を読んでください(読みたくないですよね)。

『スレイヴ――パソコン音痴のカメイ課長が電脳作家になる物語』という小説を、去年の八月に出版しました。私はそのポット出版の社長なんです。『スレイヴ』の、ネットワークで同時・無料公開、著作権フリー、増刷時百円値下げ公約、といったところが、『本とコンピュータ』編集部の目に止まって、原稿を依頼してもらえたんでしょう。
皆さん、これをきっかけにぜひ『スレイヴ』を買って読んでみましょう。メールか電話かファックスで注文してくれれば、送料無料でお送りしますよ。
ということで、「本コ倶楽部」です。
『季刊・本とコンピュータ』の津野さんはオン・デマンド出版がお薦めのようです。私も、もちろん興味を持ってるんです。やってみたい。でも、私の見積りでは、まだ高い。オン・デマンド出版でやるとしても、最初に百部、二百部は刷っておきたい。でも、そのぐらい刷ると逆に印刷費(単価ベースで)がよけいにかかってしまう。最初から数十部の本にしかオン・デマンドは活かせない。それから、トナーで刷られたオン・デマンド出版本を見ると、ちょっと金だして買う気が失せる。このあたりの技術的な改良が、オン・デマンド出版を活かすための前提だと思うんです。
それから、オン・デマンド出版という仕組みにあう本を、今、私は考えつくことができないんです。津野さんは、クルド政治難民のための自国語の本の例を挙げてましたけど、私なら、ダイレクト印刷で二〜三百部刷ります。保管スペースもたいしたことないし、それが今いちばん低コストでつくれる。この場合、むしろ頭が痛いのは、二〜三百部じゃ原稿料・編集の手間賃・出版社の維持費を捻出できないこと。二千円で売って、取次・書店マージンを省いた直販でも四〜六十万円の売上げ、これじゃオン・デマンドだろうが、ダイレクト印刷だろうが、印刷代をやっと回収できるだけ。著者・編集者・私(出版社社長)みんなタダ働き。タダがイヤじゃないんです。こんなんばっかだと飯代がでないから困る(タダ働きでも本を出したい人がいる。本は「文化」だから。このアタリどっかできちっと考えなおすべきなんです)。
DTPがらみの本を企画してます。オン・デマンドでやろうかなんて考えました。でも、よくよく考えると、オン・デマンドでやりたいからそう考えただけで、オン・デマンドの仕組みがこの本にあうからじゃない。「使える」って予感があるからいつも頭の隅には置いてあるけど、その仕組みを活かせる企画は今はまだないんです。
もうひとつ、データベースの充実したオンライン書店、っていうのも、うさんくさいですね。
データベースの上では、百部発行のマイナーな本もミリオンセラーも同じ一冊として、スペースを気にせずに並べられるっていうけど、結局どっかの有名人の「お薦めコーナー」ができちゃうんじゃないんでしょうか。オンライン書店の「お薦めコーナー」は、紀ノ國屋の一階特設売場の平積みみたいなもんでしょ。
たまに「昔、朝日新聞の書評に載ったら、軽く増刷決められたんだけど、いまはダメだね」っていう、朝日の力も落ちたもんだ的な話を聞くことがあるんですが、いいじゃないの、って思うんですよ。「朝日のお薦めなら読まなきゃ」っていう程度の奴がへったんだから(いや、本そのものを読まなくなったからかな)。私のとこの本は平積み・書評になって欲しいですよ、そりゃやっぱり。でも、頼りきりたくない。
それから、なるべく巨大なサイトを待望するのはやめましょうよ。せっかくネットワークができて来てるんだから。巨大なサイト、巨大な会社、巨大な政府は必要悪と思うんで、なるべく減らしたいし、頼らずにいきたい。
ポット出版の本だって「(テーマに関する一言)+本」ぐらいを検索エンジンで検索すれば、結構引っかかりますよ。それぞれの出版社がウェッブにちゃんと載せればいいんじゃないでしょうか。なるだけ、情報発信者は分散して独立していたほうがいいし。
一度、オンライン書店で本を買うとメールで似た傾向の本の案内が来るってシステムを、出版する側が待望するのも気持ち悪い。そりゃ、オンライン書店はやるでしょう。でも、丸井のクレジットでスキーウェアを買うと、翌年スキーのDMが届くみたいなシステムを、いろんな人が気持ち悪がってたんじゃないのかな。
私は丸井からDMが届くのはしょうがないって思ってますよ、クレジットで買っちゃったんだから。それで、私が本のDMメールを出すときは、ポット出版の手で、出すかどうか、誰に出すのかを判断して出しますね。オンライン書店さんに代わってやって欲しいとは思わない。
日頃、出版社が流通の悪口を言ってるのを、いっぱい聞いてる気がする。もちろん、流通(つまり取次と書店)に注文出したり、意見言うのはいいけど、依存しきってる出版社の方が狡いんですよ。悪口言う前に、依存体質を改めるべきだと思うな。オンライン書店にDMメール期待するんじゃなくて。
ネットワークで自分とこの本の告知して、メールでDMやって、送料無料で送る。出版社がそこまでやれば、流通だって、オンライン書店だって、もっともっといろんな面白いことやりますよ。
『スレイヴ』(畑仲哲雄・著/四六判二二四ページ並製/定価●一六〇〇円+税/ISBN4-939015-14-9C0004/初版二千部)
(有)スタジオ・ポット/ポット出版 Phone03-3478-1774

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