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[第13章●本の買い方読み方しまい方]
26… 書籍JANコード
[2005.10.11登録]

石田豊
ishida@pot.co.jp

前回の記事からずいぶん時間がたってしまいました。すんません。

もう、書いた方も忘れつつあるんですけど、前回まででとにかくISBNコードについての説明はおわったのでした。で、最近の書籍にはISBNコードだけではなく、バーコードも印刷してある、と。そのバーコードの内容をよく見ると、ISBNコードに非常に似ておる、と。

たとえば前回に図版として出した本のバーコードを見ると、以下のようになっています。

消費税5%時代の書籍JANコード





「ISBN4-16-203714-X C1195 ¥857E」となっていたのが、バーコードの方は「9784122037144 1921195008574」となっています。長くはなっていますが、ほとんど内容は同じですね。仮に同じ内容であろうと思われるところを赤字にしてみました。

バーコード、つまり、書籍JANコードはISBNコード(日本図書コード)とほぼ同じ内容になっていることがわかります。前回も書いたように、これは消費税5%になってからのものですが、3%時代はどうであったかというと、次の図。

消費税3%時代の書籍JANコード





これもほぼ同じ。「ISBN4-16-741408-2 C0195 P450E」が「9784167414085 1910195004501」です。

新旧のバーコードを比較してみると、1段目の978は共通ですが、2段目の192は、3%時代には191であったことがわかります。

2段目の情報は分類と価格ですから、頭の「192」は税抜き価格を示し、「191」は3%の税込価格であることを示しているわけです。何度も言うようですが、ほんと短慮でしたね。税込の金額でコードを付けたのは。その点、5%時代は本体価格でコードを振っていますから、これは正解。つうか、あたりまえでしょう。これ以上に奇妙というかワケのわからんのが、昨年政府がごり押しした「総額表示化」です。冷静に考えて、これはもう何を考えているんだか、さっぱりわかりません。巷間いろいろ言われていますけど(たとえば税と本体価格をどがちゃかにして重税感をなくす、とか)、そんな効果があるとも思えません。ま、ぼくが運営しているネットショップでは税込1本でいっていますが、これはもし税率変更があっても、一晩徹夜するまでもなく修正できる規模だからやっているだけのことで(なおも言うなら、本体価格と消費税をわけて管理するとするなら、プログラムが煩雑になるという理由もあります)、もっと大規模な流通業者はアタマいたいですよね。商品に価格を印刷する場合(本などはまさにそうです)はますます頭がいたい。

本の場合は、この総額表示のお達しの時に、本だけは特別でござると陳情して、「+税」という表記を勝ち取ったということです。英断です。

ともあれ、2段目を読み取って動作させるPOSレジプログラムを書く場合は、頭が「192」ならそれに税率5%を掛ける、「191」なら、まずそれを「1.03」で割ってから税率5%を掛けるという処理が必要になります。ただ、このアルゴリズムでは、時と場合によって「定価××円(本体××円)」と印刷してある本体価格と計算で求めたものが1円の誤差が出る場合があり、うるさいお客なら、なんでやねん、とつっこまれる畏れがあります。

いっぽう1段目は3%時代、5%時代とも変わりがありません。どちらも978から始まっている。あとはISBNと同じ数字が続き、最後のチェックデジットは違っている、という構造になっています。

じゃあ、この「978」というのは何かということになる。

それを考えるには、前提としてJANコードとは何かということから始めなくてはなりません。

JANコードとはJISで定められた商品流通用のコードで、略さないで言えば「Japan Article Nmber」ってもんだそうです。身の回りにあるありとあらゆる(とまでは言いませんが)商品に付けられています。たとえば次の図は明治チェルシーの外箱に印刷されていたJANコードです。

一般品(お菓子)のJANコード




「書籍JANコード」という限りは、このJANコードの眷属であるわけですが、わざわざ「書籍」という名を冠していることでもわかるように、一般のJANコードとはいささかおもむきが違っています。

JANコードはヨーロッパ中心の規格であるEANコードの兄弟分であり、互換性があります。いままでは北米のUPCコードは若干違う世界であったのですが、今年からはアメリカ/カナダも譲歩してEANコードにすり寄ることになったということです。アメリカが譲歩することもあるんですな。

国際規格でありますから、「どの国のものであるか」という情報もコードの中に含まれています。

チェルシーの例でも見て取れる、アタマの2桁が国番号です。「45」と「49」が日本の国番号。ISBNの場合は「4」一桁独占でしたが、JAN(EAN)の場合はその「4」をドイツ(40〜44)、ロシア(46)ほか台湾(471)、グルジア(486)、香港(489)などという国々と分け合っています。なんだかぷち愛国心がうずくなあ。

JANコードも書籍JANコード(1段分)と同じく13桁(JANには短縮形として国内だけの規格である8桁バージョンもある)ですが、ISBNとは「メーカー」のコードの取り扱いが違います。

前述したようにISBNの場合は、出版社の規模により、出版者コードの桁数が変化しましたが、JANの場合は大会社であれ中小企業であれ、原則(今は)7桁です。13桁中、国コードで2桁、チェックデジットで1桁取りますから、残りから7桁をひくと3桁が商品コードということになります。これでは1000アイテムの商品しかだせないわけですが、ま、いっぱいになれば別番号のメーカーコードを交付すればいいじゃないか、という考え方です。

民主的っていえば民主的で、キブンがいいですけど、しかし、実際には部外者にはわかりにくい体系づけです。これは考えるまでもなく、両者のコードの性格の差を踏まえているように思います。JANコードは、極端に言えば、流通に携わる会社(もっといえば、そこに設置されている機械)だけがわかっていればいいもので、消費者が知るひつようのまったくないものですが、ISBNは消費者にとっても意味のあるコードなので、「人が見ても中身がわかる」コードである必要があるのでしょう。

ところで、JANコードの日本の国番号は「45」ないし「49」であるのに、書籍JANコードは頭が「978」になっている。これはどうしてか、と。

JAN(EAN)の体系の中では、国別のものと平行して「本」というカテゴリーがあり、そいつが「978」なんですね。EANコードにあっても(つまりヨーロッパのものであっても)本には「978」(ないし〜979)のコードがついている。その後ろはISBN ですんで、頭で国をわけなくてもいいってことでしょう。

この両者の性格の違いと、チェックデジットの算出については、次回、ということで、いささか尻切れとんぼながら、本日、これまで。

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渡部進さんより
ご意見いただきました

[2005-12-24]

cIDf

こういう団体が(かつてあった…)本にもIDふってました。
確か東大から出るものはこのIDが載っていました。
Content ID Forum、東大安田研究室
国から助成金が出て包括的なID(殆ど無限大)体系を目指して複雑なものになりすぎました。

RFIDやV.6が背景にあります。

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