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[第13章●本の買い方読み方しまい方]
15… 聞き手の雑感(2)
[2004.07.21登録]

石田豊
ishida@pot.co.jp

本が読まれなくなった、とはよく聞くけれど、それって本当なんだろうか。

総務省が5年ごとに実施している「社会生活基本調査」の「趣味・娯楽」の項を見ると、読書の置かれている状況は、決して悲観的なものじゃない。

全年代を通じて、いちばんよく行っている趣味・娯楽が「趣味としての読書」である。この統計では10歳以上の全人口の45.5%がおこなっていると推定している。これは他の趣味娯楽を圧しての第1位だ。ちなみに2位は「カラオケ」で39.1%。「映画鑑賞(テレビ、ビデオ等は除く)」の35.8%、「園芸・庭いじり・ガーデニング」の32.5%がそれに続く。

世を挙げてのガーデニングブームとかというが、それが言えるんだったら、読書ブームといったっていいんじゃないか、と。

1年間の平均行動日数でみても「テレビゲーム(家庭で行うもの携帯用を含む)」が86.1日と最も多く、「趣味としての読書」が85.5日、「楽器の演奏」が67.0日、「園芸・庭いじり・ガーデニング」が62.0日と続く。つまりやっている時間(というか機会)でみても読書は善戦しているのである。

平均で見ていてもわかりにくい。全人口の45.5%が趣味として読書を挙げているのだが、どの行動にたいしても、年間何日くらい行っているかという内訳が計上してある。

読書が趣味ですと答えた人に、重ねて頻度を聞くと「年に1〜4日」と答えた人が4%いる。年に4日でもって趣味は読書という根性も見上げたものだが、ともあれそうなっている。

以下、年に5~9日が4.5%、年に10~19日が(全10歳以上人口の)8.5%、20~39日が7.4%、40~99日6.7%、100~199日が6.9%、年に200人以上が7.0%ということになっている。

最頻値で言えば月に1、2回という10〜19日なのだが、次点は年に200日以上、つまり週4回以上読んでまっせという人になる。これが(全人口の)7%あるわけだ。

これは期せずして前回の仮説とどこか付合する。人口の4%が月8冊の新刊書を買っているという仮説。月8冊の本を読もうとすれば、週4日くらい付き合わなければならないだろう。

またこの調査を年齢層別に見ても、年齢差による違いが見て取れないのが読書だという傾向も見えてくる。次の図は、この調査から、比較的「やっている」人が多い趣味・娯楽の項目を抜き出して、行動日数(頻度と考えてよいだろう)の平均を年齢層別に比較してみたものだ。

このグラフを見てみると、趣味としての読書は高年齢層にむかって微増はしているものの、各年代とも、そう差がないことがわかる。(関係ないけど、今の年寄りって、こんなにテレビゲームをやっているのか。驚いた)



しかも、時系列で見ると、趣味・娯楽として読書を挙げている人の割合は、1986年の43.7%から、2001年には45.1%と、若干ではあるが増えてもいる。

ただ、気になるデータもある。読書に費やす時間が86年には年間103.4時間から2001年には85.4時間まで下がっている。

ま、こういうデータまで書いてしまうと、論旨がボケてしまうのだが、致し方ない。

言いたいことは、本は終わったと言われ続けているのは、もしかすると、「本が売れなくなっている」ということに過ぎないのではないか、という疑惑を感じている、ということ。

本の未来は、一概にくらいとは言えないんじゃないかなあ。あまり悲観的な推測ばかりが跋扈すると、アナウンス効果がでちまうんじゃないか、と、危惧を感じたりしているのだ。そうなったら残念すぎるじゃないか。そうは思いませんか?

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