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芝居編 10090807060504030201
映画編 10090807060504030201

映画編04●CLCCオフ会

●書き手
稲葉千穂子さん
City Lights

さて、City Lights Cinema Clubで、8月にオフ会を開きました。
20名程の方が参加され、大盛況でした。
このオフ会で、みなさんの映画の想い出話や、これから映画鑑賞に望むことなど、自己紹介も兼ねて、語っていただきました。

今はまだ趣味と言えるほど映画を鑑賞することができないけれど、将来の夢は「映画が趣味です!」と堂々と言えることです!と力強く語って下さった方。

大学生で失明するまで、映画館に通いつめていた映画大好き少女だった。
失明して映画の話であんなに盛り上がっていた友人と映画の話ができなくなって、くやしさのあまり配給会社や製作会社、映画雑誌の出版社。それに淀川長治やおすぎとピーコにまで「見えなくなっても映画が観たい!」との思いのたけを綴り、手紙を送ったが…かえってきたのは、一通のキネマ旬報からの返事だけ。
「大切なことなのでできる限り尽力したい。」と……
それで、疲れ果ててあきらめておりました。と切々と語ってくれた会員の方もいました。

時代が時代だったのですよ!これから一緒にがんばりましょう!とみんなで一致団結の感動的なシーンもあり……。
かと思えば、なんとも気品ある清楚なおばさまの口から、うら若き少女の頃の恥ずかしいお話…。はじめて映画館で観た映画「エロチカル・アフリカ」に興奮してしまった、ハンドルネーム、RIRIさまの想い出には、みんなのけぞりかえって大爆笑!
余りにおもしろかったので、どうか書いて下さいと、お願いしてしまいました。

以下、エロチカルRIRIさまの映画の想い出話です。

「カルチャーショック!?」〜エロチカル・アフリカの思い出〜

それは、東北地方のある片田舎に住む、純粋でしかも小心な娘の頃の話しです。
今は違うかといえば、やはりそのようですが……トホホホ

これまた、私に輪をかけたような真面目人間の友人と、見に行こうと決めたのが、チャールズ・ブロンソン主演のサスペンス映画でした。
ところが、当時映画といえば、二本立て、三本立てはあたりまえ。
私達が行こうとした映画館も二本立てで、入り口の上には、確か手描きと思われた大きな看板が掲げてありました。黒い帽子にチョビ髭のチャールズ・
ブロンソンはもちろん、もう一つの看板に目が止まったとき、二人はあっと驚きました。
予想もしなかったエロチックな看板の上に、「エロチカル・アフリカ」とタイトルが書かれてあったのです。二人は、サスペンス映画だけに気をとられ、もう一本はどうでもよかったのかも知れません。当時の記憶は、今はさだかでありません。
しかし、その看板を見た二人は、映画館の前で右往左往してしまいました。

当時映画を見ることは、とても少なかった田舎育ちの私。
友人の住むH市では、いつも上映されていて羨ましかった。
ブロンソンのサスペンスは見たい。、が、もう一本のエロチックな映画を上映している、その映画館の中へ、入る勇気がなかった。あぁ、どうしよう……
お互いに相手の顔を見ては、決断を委ねている。あなたの方が決め手よ……

チャールズ・ブロンソンの映画だけを見て帰ろうと、二人で決めて入ることにした。
しかし、先に上映されたのは「エロチカル・アフリカ」だった。
アフリカの大自然にいきる動物たちを、撮影するカメラマン(だったと思う。)と、同行することになった女性とのラブストーリー。
といってもやはりエロチックなのです。
大草原にてキャンプする男女ですもの、結果は自然のなりゆきですよね。

現在の私なら、爛々とした気持ちで見るかも知れない。エェッ、ホント!?
でも、前にも述べたように、気の小さかった娘時代の私。
男女の絡み合いなど、平常心では見られませんでしたよね。
心臓はドッキン!ドッキン! 頭の中は火照りでカァーッ!
隣の友人は、どんな顔して見てるのかな? 私もどんな顔?
わぁ、お恥ずかしい! 恥ずかしいといっても、絡み合いのシーンが恥ずかしいのか、それを見ている自分が恥ずかしいのかさっぱり判らない。
興奮していたのか、身体を動かすことさえできなかったような記憶。

その興奮も醒めやらぬうちに、残りの一本、メインのサスペンスが始まった。
目は画像と活字を追っている。しかし頭の中は、前作のショックと興奮のまま。
そそり降る雨の中、黒い帽子を被った髭のブロンソンが、外壁にへばりついて館の中野様子を伺っていたシーン。記憶に残ったのはこれだけ。
でも、これも確かでしょうか……

あぁ、何としたことでしょう!
CLCオフ会で、映画の思い出話しを紹介することになったとき、つい最近まで、私はこの映画のタイトルを、思い出せないまま過ぎていたことに気がつきました。主演が誰だったのか、どのような内容だったのか、そして肝心のタイトルは、全く記憶から外れてしまっていたのです。

エロチカルなシーンで、カルチャーショックを受けたのが興奮とは!
田舎の娘時代のこととはいえ、あまりに世間知らずでしたよね。フゥーッ!
しかし最近になって、この「エロチカル・アフリカ」と一緒に見た映画は「雨の訪問者」だったことを思い出しました。長い年月を要しました。
そして、その後のランチでも、とぎれがちな会話だけで、二人には映画の話題はでなかったような……
ちなみに、一緒に映画を見た友人とは、女性です。ホント! 

このように、強烈な映画の思い出を持つ私は、30代半ばから視力に障害をきたすようになり、また子育てに関わったため、映画館に足を運ぶことは大変少なくなってしまいました。
自分の時間を持てるようになった現在、以前見た映画の中で印象に残っているものや、これからの映画に期待したり、楽しみを増やそうと思っています。
この「エロチカル・アフリカ」が、その一つになるのかどうか判りません。
このまま思い出としたい気持ちと、もう一度という気持ちが交錯しています。
「雨の訪問者」は、是非もう一度と願っています。

   
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